EDの治し方(自力で改善・予防する方法)
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EDとは
ED(勃起不全)は、勃起力の低下により性行為に支障をきたす状態のことです。
具体的には、十分に勃起せず膣内に挿入できない場合や、性行為の途中に勃起が弱まってしまい性行為を継続できなくなる状態を指します。
そもそも、勃起は陰茎に血液が流れ込むことで膨張する現象であり、陰茎への血流が少なくなることで勃起力が弱まります。
日によっては上記のような症状が見られると、軽度EDに該当するケースもあるため、注意が必要です。
EDの原因
EDは、原因によって4つのタイプが存在します。
EDの種類
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いずれも原因は異なりますが、陰茎への血流が弱まり勃起力の低下を引き起こしています。
以下では、それぞれのEDについて解説します。
心因性ED|20代〜30代が中心
心因性EDは、精神的なストレスやプレッシャーといった原因によって引き起こされるEDです。
仕事や人間関係のストレス、さらには性行為に対する不安、恐怖などが発症の引き金となります。
心因性EDの特徴的な点として挙げられるのが、20代〜30代といった若年層に多く見られることです。
環境の変化などによるストレスを感じやすいことが理由として挙げられます。
器質性ED|30代〜50代以上が中心
器質性EDは、勃起に関連する血管や神経の身体機能が低下することで引き起こされるEDです。
主に30代〜50代以上の年代に多く見られ、身体機能の低下で物理的に陰茎への血流や神経伝達に悪影響を与え、勃起力の低下を招きます。
また、予期せぬ事故などで陰茎付近の血管や神経が深刻なダメージを受け、器質性EDを発症するケースもあります。
薬剤性ED|薬剤の副作用が原因
薬剤性EDは、服用している薬剤の副作用が影響で勃起力が低下して引き起こされるEDです。
薬剤が原因のため、年齢を問わず発症する可能性があります。
具体的な薬剤としては、抗うつ剤、降圧剤、睡眠薬などが挙げられます。
これらの薬物を服用しており、EDの症状が現れた場合は、薬剤性EDの可能性が疑われるでしょう。
混合性ED|複数のEDが併発
混合性EDは、器質性ED・心因性ED・薬剤性EDのいずれかが複合して発症するEDです。
例えば、加齢により器質性EDが発症することで自分に自信をなくし、そのストレスが原因で心因性EDを併発するケースが考えられます。
ED患者の多くは混合性EDの可能性があるため、原因を一つに絞り込むのは非常に困難です。
したがって、まずはED治療薬を試して効果を検証するのが一般的なED治療の方針となります。
EDの治し方・治療方法
実際、心因性EDと器質性EDが複合して起こるケースが多く、ED患者の治療法はある程度共通しています。
具体的には、以下の方法で陰茎への血流を促して、勃起力の改善をするのがED治療の考え方です。
EDの治し方・治療方法
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それぞれの治療方法について詳しく解説します。
ED治療薬の服用
多くの場合、まずはED治療薬(PDE5阻害薬)の服用によってEDの改善を期待します。
PDE5は、性的興奮が静まる際に勃起を抑制させる役割を担っている酵素です。
つまり、ED治療薬によってPDE5を阻害すれば、間接的に勃起が促されるという考え方です。
陰茎付近の血管や神経に重篤なダメージがなければ、ED治療薬で陰茎への血流を有効に促進することが期待できます。
器質性EDの改善のみならず、心因性EDの患者が成功体験を積むきっかけ作りとしてもED治療薬の服用は有効と考えられます。
当クリニックでもED治療薬の処方が可能なので、EDにお悩みの方はぜひお気軽に相談ください。
陰圧式勃起補助具
陰圧式勃起補助具は、筒状の容器に陰茎を挿入したうえで容器内を陰圧(減圧)し、陰茎への血流を促す補助具のことです。
血流は圧力が高いほうから低いほうへと流れるため、陰茎の圧力を低くすることで血流が促進し勃起しやすくなるという原理です。
また、陰圧により勃起した陰茎を維持するために、陰茎の根元にゴムバンドを巻くことで、より長時間の性行為を可能にします。
陰圧式勃起補助具は、圧力を利用して物理的に陰茎への血流を促すため、器質性EDだけでなく心因性EDにも有効とされます。
ICI治療
ICI治療とは、陰茎海綿体に専用の薬剤を注射して勃起を促す治療法です。
ED治療薬や陰圧式勃起補助具が有効でなかった場合、ICI治療を検討します。
不慮の事故などで陰茎付近の血管や神経が繋がっていない場合は、ICI治療が有効となる可能性があります。
ICI治療で注射する薬剤はED治療薬とは異なり、プロスタグランジンE1誘導体製剤と呼ばれる抗血小板薬です。
注射時の痛みは比較的に少なく、2回目以降は自宅で手軽に行えるのが特徴です。
ICI治療を行ったED患者のうち、70%〜90%がED改善効果を実感している実績もあります。
男性ホルモン補充療法
男性ホルモン補充療法とは、物理的に男性ホルモンを補充して男性機能を増加させ、勃起力を補う治療法です。
加齢により男性ホルモンの分泌量が減少し勃起力が低下するケースは、器質性EDに該当します。
その場合、男性ホルモン補充療法によって一定のED改善効果が期待できるでしょう。
一方、男性ホルモンを外部から物理的に補充することで、以下のような副作用も懸念されるため注意が必要です。
男性ホルモン補充療法の代表的な副作用
- 精巣の機能の低下
- 肝機能障害
- 多血症
- ニキビの増加
- 女性化乳房
- 抑うつ症状
期待される効果と副作用のバランスを考慮したうえで、適切な治療法を選定することが大切といえます。
陰茎プロステーシス移植手術
プロステーシスとは、シリコンなどで作られた人工的なインプラントのことです。
陰茎プロステーシス移植手術は、陰茎にプロステーシスを埋め込むことで勃起を可能にする手術になります。
ほかのED治療で効果が出なくても、陰茎プロステーシス移植手術が成功すれば、ほぼ確実に勃起力を取り戻すことが可能です。
一方、陰茎プロステーシス移植手術は、感染症のリスクや自然な勃起がほとんど期待できません。
したがって、EDが疑われる場合はED治療薬や陰圧式勃起補助具といった治療法から検討を進めるのが一般的です。
陰茎プロステーシス移植手術は、ほかのED治療が成功しなかった際の最終手段として考えましょう。
EDを自力で治すには?(EDの改善・予防法)
ED治療に関して、病院やクリニックなどの医療機関に頼らず、日常生活の中でEDを解消したいと考える方もいるでしょう。
そこで、自力でEDを治す方法や、そもそもEDにならないための予防法について紹介します。
EDを自力で治す方法
- 食生活を見直す
- 過度な飲酒を避ける
- 禁煙を心がける
- 運動習慣を身につける
- PC筋を鍛える
- 睡眠の量と質を高める
- ストレスを発散する
- サプリメントや精力剤を服用する
- 自慰行為を見直す
- 心理カウンセリングを受ける
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すぐに実践可能な取り組みについても多数紹介しているので、ぜひ試してみてください。
食生活を見直す
栄養バランスが偏った食生活が慢性化すると動脈硬化を招き、陰茎に血流が流れにくくなってEDの原因となります。
また、肥満も同様に動脈硬化の原因となるため、当てはまる方は注意しましょう。
食生活を見直すポイントは、血流をサラサラにする食材を取り入れることです。
なかでも、以下の食材はED改善にあたって、おすすめの食材といえます。
頭文字を取って「おさかなすきやね(お魚好きやね)」と覚えましょう。
「おさかなすきやね」の食事
- お →お茶(緑茶、烏龍茶、ほうじ茶など)
- さ →魚(サバ、イワシ、サンマなどの青魚)
- か →海藻類(わかめ、昆布など)
- な →納豆
- す →酢(酢酸、クエン酸)
- き →キノコ類(シイタケ、キクラゲ、マイタケなど)
- や →野菜類(ニンジン、カボチャ、ピーマンなど)
- ね →ネギ類(長ネギ、玉ネギ、にんにくなど)
肥満を改善する食材としては、以下も参考にしてみてください。
「おさかなすきやね」の食事
- 野菜
- きのこ
- イモ
- 豆類
- 海藻
すぐに効果が出る保証はありませんが、毎日継続することでED改善の方向に向かうはずです。
過度な飲酒を避ける
過度な飲酒は、性的興奮時の神経伝達を阻害してしまう恐れがあるため、EDの原因となる可能性があります。
適度な飲酒であれば問題ありませんが、過度な飲酒は避けることをおすすめします。
過度な飲酒が習慣化している状態をいきなり変えようとすると挫折しかねないため、少しずつ頻度を減らすよう心掛けてみてください。
禁煙を心がける
タバコにはニコチンという化学物質が含まれており、血管を収縮させる作用があるとされています。
勃起は陰茎への血流により生じる現象なので、ニコチンによる血管の収縮は勃起力の低下を招く可能性があります。
したがって、禁煙によってニコチンの摂取量を抑えれば、ED改善の効果が見込めるでしょう。
運動習慣を身につける
運動も勃起に一定の効果が期待できるとされています。
身体を動かすことで血流の促進が見込めるため、勃起力の改善にも繋がる可能性があります。
また、運動により動脈硬化を改善する効果も認められており、「運動療法」という名称としても知られています。
運動療法の指針としては、有酸素運動を中心に実施するのが良いとされているため、まずは、ウォーキングなどの簡単な方法から試してみましょう。
有酸素運動を1日30分以上、週に3日以上継続すれば、一定の効果が期待できるはずです。
PC筋を鍛える
筋トレもEDの予防法としては有効といえます。
特に骨盤底筋(PC筋)は勃起に関わる筋肉のため、鍛えることで一定の勃起力の向上効果が見込めるでしょう。
PC筋のトレーニングには、ケーゲル体操がおすすめです。
睡眠の量と質を高める
睡眠は健康の土台であるため、勃起力にも大きな影響を与えると考えられます。
睡眠不足はEDの悪化を招く可能性があるため、目安として6時間〜7時間は睡眠を確保できると良いでしょう。
また、寝付きが悪い場合は、リラックス効果を得る目的で、枕元にラベンダーの香りを付けるなどの工夫をしてみてください。
快適な睡眠によりストレスが解消することで、心因性EDの改善も見込めます。
ストレスを発散する
ストレスの蓄積は、心因性EDを発症する原因となります。
日常的なストレス対策は、根本的なED予防に繋がると考えられています。
仕事や家庭で緊張またはプレッシャーを感じている時こそ、趣味などの時間を確保するように工夫してみてください。
また、過度なストレスは動脈硬化にも繋がり、勃起機能の低減を招くことも考えられます。
ストレスをゼロにするのは難しいため、ストレスを溜め込まない考え方を身につけることも有効です。
サプリメントや精力剤を服用する
サプリメントや精力剤の服用も、ED改善には有効とされます。
精力剤とは、男性機能の強化を目的とした食品や医薬品です。
血流促進、男性ホルモンの分泌促進、疲労回復といった効果が期待できます。
「疲れが溜まっていて勃起しにくい」といった状態の時は、サプリメントや精力剤を試してみるのも手でしょう。
自慰行為を見直す
日々の自慰行為(マスターベーション)を見直すことも、自力でできるEDの改善・予防法の一つです。
刺激の強い自慰行為が習慣化していると、実際の性行為で物足りなさを感じてしまい、EDを引き起こす恐れがあります。
陰茎への刺激を弱めたり、視覚的に強すぎる性的刺激を避けたりすることで、性行為時の性的興奮を高められ、ED発症しにくくなると期待されます。
また、自慰行為の頻度が高すぎることもEDの発症リスクを増大させる可能性があるでしょう。
1日に数回行っている場合は、1日に1回、あるいは2日に1回など頻度を減らすことで、EDの改善・予防に繋がると期待できます。
心理カウンセリングを受ける
心因性EDでは、心の中に不安やプレッシャーがあることで勃起力を低下させているケースがあります。
しかし、現代のストレス社会において心の健康状態を維持できている人ばかりではないでしょう。
そこで、心理カウンセリングの活用がおすすめです。
日本では心理カウンセリングを受けることに対して抵抗を感じる方が多いですが、欧米ではカウンセリングは身近なものとして捉えられているようです。
心に問題を抱えていることは生きるうえで自然な状態なので、「心因性EDかもしれない」と思ったらぜひ積極的に心理カウンセリングを受けてみてください。
人に話を聞いてもらうだけでもストレス解消に繋がりますし、根本的な原因にアプローチして心のモヤモヤを解消する効果も期待できるでしょう。
EDを自力で治す際の注意点
ここまでで、EDを自力で治すための取り組みについて紹介してきました。
一方、自力で治す際の注意点もいくつか存在します。
EDを自力で治す際の注意点
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それぞれの注意点について解説します。
日常の中で効率よくEDを改善・予防したい方は、当てはまっていないか確認しながら読み進めてください。
陰茎を圧迫する行動はできるだけ避ける
日常の中で陰茎を圧迫する行動は、EDの症状を悪化させる可能性があります。
特に自転車をよく利用する方は注意が必要です。
自転車のサドルによる股間の圧迫は、陰茎の血管や神経にダメージを与え、EDを誘発する可能性があります。
もちろん、自転車をこぐことで運動によるEDの改善効果は期待できますが、自転車に乗りすぎには注意しましょう。
サプリメントや薬剤の偽物に気をつける
ED治療薬やサプリメント・精力剤には偽物が存在するため、注意が必要です。
特にED治療薬を正規ではない購入ルートで入手し、重篤な副作用が出たというケースも報告されています。
「怪しいけど少しくらい大丈夫だろう」という思い込みは、思わぬ健康被害を引き起こす可能性があります。
ED治療薬を入手する際は、病院やクリニックなどの医療機関で処方してもらいましょう。
改善しない場合は医師に相談する
今回はEDを自力で治す方法を多数紹介しましたが、自力で治らない場合は早めに医師に相談しましょう。
まずは現状を医師に伝え、症状に応じて適切なED治療薬を用いながら症状を緩和させつつ、同時に生活習慣の改善に取り組むのがおすすめです。
最初は通院やED治療薬の服用に抵抗感を抱くかもしれませんが、徐々に通院や服用が不要な状態を目指していければ問題ありません。
不安な場合は、ぜひ気軽に専門の医師に相談してみてください。