バイアグラの禁忌・併用禁忌薬

バイアグラの禁忌・併用禁忌薬

この記事の監修者

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新橋ファーストクリニック 院長

市村 明

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バイアグラを服用できない方(禁忌)

バツの示す男性

バイアグラ服用することができない方(禁忌)がいます

禁忌に該当する方がバイアグラを服用した結果、日本国内では心筋梗塞などの死亡事故を含む重篤な心血管系などの副作用も含めて、多数報告されています。
以下に該当する方は、禁忌に指定されており、バイアグラを服用することができず、当クリニックでは処方もできません。

バイアグラの禁忌(疾患・状態など)

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過去にバイアグラを服用してアレルギー反応(過敏症)を起こしたことがある方が禁忌の理由

アレルギー症状がある男性

バイアグラに含まれる有効成分シルデナフィルや添加物に含まれる化学物質は、人によってはアレルゲンとなります。
バイアグラの副作用には、アレルギー反応(敏感症)とみられる「かゆみ」「発疹」「眼瞼瘙痒感」などの症状が報告されています。
過去にバイアグラ服用後、何らかのアレルギー反応を起こしたことがある方は、再び、かゆみなどのアレルギー症状が現れる可能性が高まります。

そのため、このような方はバイアグラを服用できない禁忌に指定されています。

また、重いアレルギー反応が起こると、アナフィラキシー・ショックを引き起こす可能性もあります。
アナフィラキシー・ショックとは、内臓や全身などに現れる急性アレルギー症状です。
急激な血圧の低下や呼吸困難、意識レベルの低下、失神など、早急に治療しなければ命を落とすこともあるので、バイアグラに対して過敏症がある方は絶対に服用してはいけません。

アレルギー反応が起こりやすい薬ではありませんが、バイアグラに対して、何らかのアレルギー反応が起こった場合は、ただちに使用を中止し、医師に相談しましょう。

過去6ヵ月以内に脳梗塞・脳出血・心筋梗塞を起こしたことがある方が禁忌の理由

心筋梗塞の疑いがある男性

過去6ヵ月以内に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を起こしたことがある方は、その患部や血圧の変化に対しての調節機能が安定していません。
バイアグラの血管拡張作用によって、血圧低下を招き、不安定な患部などに悪影響を与える可能性があります。
また、心筋梗塞を起こしたことがある方は、そもそも性行為自体が血圧、心拍数、心筋酸素消費量を上昇させるため、さらに心臓へ負担をかけてしまいます。

そのため、このような方はバイアグラを服用できない禁忌に指定されています。
また、臨床試験においても除外対象に指定されています。

過去6ヵ月以上経過していても、過去に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を起こしたことがある方は、念のため医師に身体状態などは伝えておきましょう。

心血管系障害(心臓疾患など)のため、性行為が不適当と考えられる方が禁忌の理由

心拍数を測る男性

前述の通り、性行為は血圧、心拍数、心筋酸素消費量を上昇させるため、心臓に負担がかかります。
心血管系に何らかの障害(心臓疾患など)があると、その度合いによっては性行為に心臓が耐えられない可能性があります。
過去6ヵ月以内に心不全、不安定狭心症、生命に危険のある不整脈などを起こしたことがある方は、性行為が不適当と考えられる方に該当します。

そのため、このような方はバイアグラを服用できない禁忌に指定されています。
また、臨床試験においても除外対象に指定されています。

過去6ヵ月以上経過していても、過去に心不全、不安定狭心症、生命に危険のある不整脈などを起こしたことがある方は、念のため医師に身体状態などは伝えておきましょう。

低血圧の方(最大血圧<90mmHg、最低血圧<50mmHg)、または治療による管理がされていない方が禁忌の理由

低血圧

バイアグラの血管拡張作用により、血圧の低下を招くことがあります。
安静時の血圧の数値が最大血圧(収縮期血圧)90mmHg、最低血圧(拡張期血圧)50mmHg未満の低血圧の方は、血圧がさらに低下し、生命に危険が及ぶ可能性があります。

低血圧を治療による管理がされていない方は、血圧をコントロールできず、安全性を確保できないため、それ以上に危険です。

そのため、このような方はバイアグラを服用できない禁忌に指定されています。
また、臨床試験においても除外対象に指定されています。

低血圧気味の方は、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

高血圧の方(最大血圧>170mmHg、最低血圧>100mmHg)、または治療による管理がされていない方が禁忌の理由

高血圧

安静時の血圧の数値が最大血圧(収縮期血圧)170mmHg、最低血圧(拡張期血圧)100mmHg超過の高血圧の方は、急激な降圧によって心筋梗塞や脳梗塞などの虚血性の障害を起こす可能性があります。

高血圧を治療による管理がされていない方は、血圧をコントロールできず、安全性を確保できないため、それ以上に危険です。

そのため、このような方はバイアグラを服用できない禁忌に指定されています。
また、臨床試験においても除外対象に指定されています。

高血圧気味の方は、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

網膜色素変性症の方が禁忌の理由

目のあたりを気にする男性

網膜色素変性症とは、網膜視細胞に異常が発生する病気で、夜盲症ではじまり、視野狭窄や色覚異常、視力低下が進行し、いずれ失明に至る両眼性、かつ遺伝性の網膜疾患です。
網膜色素変性症の方の網膜視細胞には、ホスホジエステラーゼ6(PDE6)という酵素のβサブユニット遺伝子に異常がみられます。
PDE5阻害薬(バイアグラなどのED治療薬)を服用すると、陰茎の海綿体にあるPDE5に対する阻害作用の約10分の1の効力で、PDE6に影響を及ぼし、視力低下や失明する可能性があります。

そのため、このような方はバイアグラを服用できない禁忌に指定されています。
また、臨床試験においても除外対象に指定されています。

網膜色素変性症の方は、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

重度の肝機能障害の方が禁忌の理由

本来、バイアグラの有効成分シルデナフィルは、主に肝臓で代謝・分解され、無害化されて排泄物とともに体外に排出されます。
しかし、肝硬変など重度の肝機能障害の方は、体外への排出が遅れるため、有効成分シルデナフィルの血漿中濃度が増加し、効き目が強くでたり、弱体化した肝臓に負担をかけてしまいます。

そのため、このような方はバイアグラを服用できない禁忌に指定されています。
また、臨床試験においても除外対象に指定されています。

重度の肝機能障害の方は、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

アミオダロン塩酸塩を含む薬剤を投与中の方が禁忌の理由

アミオダロン塩酸塩を含む薬剤を投与中の方が禁忌の理由に関しては、後述する「アミオダロン塩酸塩を含む薬剤が併用禁忌の理由」にて解説しています。

硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を投与中の方が禁忌の理由

硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を投与中の方が禁忌の理由に関しては、後述する「硝酸剤(一酸化窒素供与剤)が併用禁忌の理由」にて解説しています。

sGC刺激剤を投与中の方が禁忌の理由

sGC刺激剤を投与中の方が禁忌の理由に関しては、後述する「sGC刺激剤が併用禁忌の理由」にて解説しています。

バイアグラの服用を注意すべき方

薬を服用する男性

禁忌に指定されている疾患や症状などを持つ方はバイアグラを服用してはいけませんが、他にも、バイアグラの服用を注意すべき方がいます

以下に該当する方は、バイアグラを服用する際に注意してください。
場合によっては、当クリニックでバイアグラを処方することができません。

バイアグラの服用を注意すべき方

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陰茎に構造上の欠陥がある方が服用を注意すべき理由

陰茎あたりを気にする男性

陰茎に構造上の欠陥(陰茎の屈曲や線維化など)がある方はバイアグラの服用に注意しましょう。
性行為が困難、または不可能だったり、勃起時に痛みを伴う可能性があります。

ペロニー病(Peyronie disease:陰茎硬化症/形成性陰茎硬化症)の方は特に注意が必要です。
ぺロニー病とは、陰茎の海綿体を囲む繊維性の白膜などが炎症を起こし、硬いしこりができる病気のことです。
しこり部分は勃起した時に正常に伸びないため、しこりの部分から陰茎に大きな歪曲が生じ、性行為が困難、または不可能になります。
さらに勃起時には痛みを伴うこともあり、悪化するとEDの原因にもなります。

そのような方が、バイアグラによって勃起が促され、瘢痕した組織が陰茎の海綿体に広がると症状の悪化につながるため、注意が必要なのです。

持続勃起症の原因となる疾患のある方が服用を注意すべき理由

赤血球のイメージ

持続勃起症とは、自分の意思や性欲と関係なく勃起状態が続く病気です。
持続勃起症には、陰茎の海綿体の動脈が何らかの原因で破れ、過剰に血液が流れ続ける動脈性持続勃起症と、反対に陰茎の海綿体の血流が悪く、うっ血して起こる静脈性持続勃起症があります。

動脈性持続勃起症の場合は、陰茎の硬さが不完全な状態で痛みを伴いませんが、静脈性持続勃起症の場合は、陰茎が硬く完全勃起状態で痛みを伴います。
また、静脈性持続勃起症は、放っておくと血流が止まっているため、新鮮な酸素が送られず、発症から約6時間で陰茎の海綿体などの組織が壊死し始めます。
組織の損傷が激しいと勃起機能を永続的に損なうこともあります。

慢性的な貧血を伴う鎌状赤血球症や血液のがんとも呼ばれる多発性骨髄腫、白血病などの方は、陰茎の血流に影響を与えやすく、勃起持続症を発症するリスクが高いとされています。
そのような疾患のある方がバイアグラを服用すると、血管拡張作用によって血流が増加することなどが引き金となり、勃起持続症を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。

バイアグラを服用後、勃起が治まらない状態が長時間続く場合は、泌尿器科の専門医に連絡しましょう。

PDE5阻害薬(他のED治療薬)を投与中の方が服用を注意すべき理由

PDE5阻害薬や他のED治療薬を投与中の方が注意すべき理由に関しては、後述する「PDE5阻害薬(他のED治療薬)が併用注意の理由」にて解説しています。

出血性疾患・消化性潰瘍の方が服用を注意すべき理由

出血性疾患や消化性潰瘍の方は、禁忌に指定されてはいませんが、バイアグラに対する安全性は確立されていません。
血小板の働きに影響を受けたり、出血の可能性が高まる恐れがあります。

本来、血小板は、血管が破れて出血している部分に集まり、固まって破れた穴を塞ぐ働きを持っています。
しかし、血小板に存在するホスホジエステラーゼタイプ5(PDE5)の働きをバイアグラの有効成分シルデナフィルが阻害することで、血小板の機能を低下させてしまう可能性があります。

病状によって、バイアグラが服用できる状態か判断する必要があるので、出血性疾患や消化性潰瘍の方は医師に相談しましょう。

多系統萎縮症の方が服用を注意すべき理由

立ちくらみがする男性

多系統萎縮症とは、複数の神経系(小脳、大脳基底核、自律神経など)に異常がみられ、脳や脊髄などの部位に変化が起こる病気です。
原因不明の病気のため、根治的な治療方法は見つかっておらず、指定難病に認定されています。

多系統萎縮症では、自律神経系の障害により、起立性低血圧(立ちくらみ)を引き起こすことがあります。
バイアグラの有効成分シルデナフィルの血管拡張作用により、血圧が低下し、起立性低血圧(立ちくらみ)がさらに頻発する可能性があるため多系統萎縮症の方は注意が必要です。

肝機能障害の方が服用を注意すべき理由

重度の肝機能障害の方は禁忌に指定されていますが、重度でなくとも肝機能障害の方は注意が必要です。

前述の通り、バイアグラの有効成分シルデナフィルは、主に肝臓で代謝・分解され、無害化されて排泄物とともに体外に排出されます。
重度の肝機能障害の方に限らず、肝機能障害の方でも、体外への排出が遅れるため、有効成分シルデナフィルの血漿中濃度が増加し、効き目が強くでたり、弱体化した肝臓に負担をかけてしまう可能性があります。

そのため、肝機能障害の方には、低用量のバイアグラ錠25mgから服用を開始するなど、慎重に投与する必要があります。
また、肝機能障害が重症化して肝硬変に至ると、バイアグラを服用することはできないので注意しましょう。

重度の腎機能障害の方が服用を注意すべき理由

CKD(Chronic kidney disease:慢性腎臓病)などの重度の腎機能障害の方でもバイアグラを服用することができますが、注意が必要です。
重度の腎機能障害になると、腎機能(代謝・分解機能)が低下し、健全な場合と比べて有効成分シルデナフィルの血漿中濃度が上昇し、効き目が強く出やすくなります。

そのため、重度の腎機能障害の方には、低用量のバイアグラ錠25mgから服用を開始するなど、慎重に投与する必要があります。
慢性腎臓病で血液の人工透析を受けている方などは、バイアグラの処方前に医師としっかり相談しましょう。

過去にNAION(非動脈炎性前部虚血性視神経症)を起こしたことがある方が服用を注意すべき理由

目の痛みを気にする男性

海外では、バイアグラなどのED治療薬を服用後、稀に視力低下や失明の原因となりうるNAION(Non-Arteritic Ischemic Optic Neuropathy:非動脈炎性前部虚血性視神経症)の発症報告がされています。
NAIONとは、視神経に栄養を届けるための動脈が血流障害によって狭まることで引き起こされる視神経疾患です。

片眼に突然、痛みを伴うことなく起こり、視界の下半分、または上半分が見えなくなったり、中心部分が見えなくなることがあります。
両目に起きる可能性もあり、起床時にNAIONの発症に気がづくことが多いとされています。

NAIONを起こしたことがある方は、視力低下や失明する可能性があるので、バイアグラの服用は控えたほうが良いでしょう。

未成年の方が服用を注意すべき理由

未成年の男性

未成年の方がバイアグラなどのED治療薬を服用することは違法ではなく、添付文書でも禁止はされてはいません。
しかし、未成年の方は身体的に成長段階で、自律神経が安定していないので、万が一の副作用のリスクを考えると、バイアグラの服用は慎重に検討する必要があります。

未成年の方が勃起できない原因の多くは、心因性EDによるものです。
性行為自体に慣れていないので、緊張感が先立ち、勃起に集中できないなど理由で心因性EDになることが多いと考えられます。
成長とともに乗り越えられる問題なので、年齢的に見てもバイアグラなどのED治療薬に頼る必要がない場合が多々あります。

未成年の方は、医師としっかりと相談し、バイアグラが必要と判断された場合のみ処方してもらうようにしましょう。

当クリニックでは、未成年の方でも18歳以上(高校生を除く)であればバイアグラの処方を行っております。

高齢者の方が服用を注意すべき理由

高齢者の男性

バイアグラの服用に年齢制限の上限はありませんが、高齢者の方(65歳以上の方)は注意が必要です。

高齢者の方は、若年者の方と比べると、有効成分シルデナフィルの代謝・分解が遅れるので、血漿中濃度が上昇しやすくなります。
状態を鑑みて、バイアグラ錠25mgから服用するなど用量を調整する必要があります。

また、高齢者の方は、基礎疾患などを抱えている場合が多いので、治療のために服用している薬剤が飲み合わせの悪い薬剤(併用禁忌薬)かどうか注意しなければなりません。

興味本位で服用を考えている方が服用を注意すべき理由

酔っ払いの男性

バイアグラは、EDや性行為などで悩む人達が、より充実した生活を送るために使用される薬です。
むやみやたらに興味本位で服用を考えている方が使用する薬ではありません。

興味本位での不正入手や不適当な使用方法によって重大な事故も発生しています。
過去には、某有名人がバイアグラをアルコールとともに一度に大量摂取し、急性アルコール中毒となり、救急車で病院に搬送されるという事件も起きています。

自然な勃起が可能で、EDや性行為などで悩んでいない方は、バイアグラは必要ないと考えられるので、服用を控えましょう。

性行為が不適当と考えられる方が服用を注意すべき理由

疲れがたまっている男性

その他、疲労や低栄養などによって体力が極端に低下している方などは性行為が不適当と考えられられます。

性行為は体力を消耗する運動の様なものです。
運動によって血圧や心拍数は上昇し、少なからず心臓に負担をかけます。

体力が極端に低下している方などは、バイアグラの服用によって性行為を頑張りすぎて、過度に心臓に負担がかかる可能性があるので注意しましょう。

バイアグラと併用できない薬(併用禁忌薬)

注意を促す人

バイアグラと併用して服用することができない薬剤(併用禁忌)があります

併用禁忌とは、飲み合わせの悪い薬剤と併用してはいけないことです。

併用禁忌薬とバイアグラを併用して服用することは自殺行為に等しいものであり、日本国内では併用による死亡事故が多数発生しています。
以下に該当する薬剤は、バイアグラと併用して飲むことができない併用禁忌薬です。

バイアグラの併用禁忌薬

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アミオダロン塩酸塩を含む薬剤が併用禁忌の理由

注射器

アミオダロン塩酸塩を含む薬剤は、心不全に伴う心房細動や肥大型心筋症に伴う心房細動などの難治性不整脈の治療に使用される抗不整脈薬です。

日本国内では、生命に危険がある致死性の不整脈で、他の抗不整脈薬が無効、または使用できないなどの場合のみ使用されます。
アミオダロン塩酸塩を含む薬剤には、「飲み薬タイプ」「注射タイプ」などがありますが、いずれもバイアグラと併用してはいけません。

バイアグラ(有効成分シルデナフィルクエン酸塩)と同じED治療薬(PDE5阻害薬)であるレビトラ(有効成分バルデナフィル)は、アミオダロン塩酸塩を含む薬剤との併用により、QTc延長作用が増強し、重篤な不整脈を招く可能性が報告されています。
バイアグラもレビトラと同様、PDE5阻害薬のため、有効成分バルデナフィルとの併用で認められたQTc延長作用が、バイアグラにおいても同様に起こる可能性が完全に否定できないとしています。

また、アミオダロン塩酸塩を含むアンカロン錠の添付文書にも、バイアグラ(有効成分シルデナフィルクエン酸塩)やレビトラ(有効成分バルデナフィル)が併用禁忌薬に指定されています。

そのため、バイアグラの添付文書においてもアミオダロン塩酸塩は併用禁忌に指定され、注意喚起することとなっています。

アミオダロン塩酸塩を含む薬剤を投与中の方は、バイアグラの処方前に医師に必ず相談しましょう。

硝酸剤(一酸化窒素供与剤)が併用禁忌の理由

塗り薬

ニトログリセリンで知られる硝酸剤、または一酸化窒素供与剤(NO供与剤)は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の治療に使用される血管拡張薬です。

一酸化窒素(NO)が血管の平滑筋を弛緩させることで、血管の拡張を促す作用があり、血圧の低下を引き起こす副作用が認められています。
硝酸剤には、経口服用の「飲み薬」に限らず、「塗り薬」「貼り薬」「吸入薬」「スプレー」「注射」などのタイプの薬剤がありますが、いずれもバイアグラと併用してはいけません。

硝酸剤または、一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジルなど)とバイアグラを併用すると、それぞれの薬剤が持つ降圧作用が二重に働き、過度に血圧を低下させてしまう可能性があります。
海外、および日本国内では、併用による死亡事故が多数報告されています

そのため、硝酸剤または、一酸化窒素供与剤は特に絶対的な併用禁忌薬に指定されています。

硝酸剤、または一酸化窒素(NO)供与剤を投与中の方は、バイアグラの処方前に医師に必ず相談しましょう。

sGC刺激剤が併用禁忌の理由

肺を押さえる男性

sGC(Soluble guanylate cyclase:可溶性グアニル酸シクラーゼ)刺激剤は、 CTEPH(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:慢性血栓塞栓性肺高血圧症)PAH(pulmonary arterial hypertension:肺動脈高血圧症)などの肺高血圧症治療に使用される肺高血圧症治療薬です。

sGC刺激剤の有効成分リオシグアトは、細胞内の血管の拡張に関わるcGMP(環状グアノシン一リン酸)の産生を促進させることで、血管拡張作用をもたらします。
sGC刺激剤としては、経口服用の「アデムパス錠」が慢性血栓塞栓性肺高血圧症と肺動脈高血圧症の2つを治療できる世界で唯一の肺高血圧症治療薬であり、バイアグラと併用してはいけない薬剤です。

アデムパス錠(有効成分リオシグアト)とバイアグラを併用すると、細胞内のcGMP濃度が増加し、血管拡張作用が相加的に働くため、症候性低血圧を起こすことがあります
そのため、sGC刺激剤のアデムパス錠(有効成分リオシグアト)の添付文書には、PDE5阻害薬が併用禁忌薬に指定されています。

また、CCDS(Company Core Data Sheet:企業中核シート)との整合性に基づき、バイアグラの添付文書にも、sGC刺激剤が併用禁忌薬に指定され、注意喚起することとなっています。

CCDSとは、当該医薬品の製造・承認を世界で初めて取得した企業によって作成される、各国の添付文書を作成する際の基準となる文書のことです。
今回の場合は、安全性情報に加えて、効果、または効能、用法・用量、薬理学・製品に関するその他の情報が含まれているアメリカのファイザー株式会社が作成した文書です。

sGC刺激剤を投与中の方は、バイアグラの処方前に医師に必ず相談しましょう。

バイアグラの併用禁忌薬一覧

商品名ごとにバイアグラの併用禁忌の薬剤を一覧化していますので、参考にしてください。

また、当クリニックに来院の際、下記に該当する薬剤を服用していたり、他に服用している薬剤があれば、薬の薬品名が分かるものを必ずお持ちください。

アミオダロン塩酸塩の商品名

飲み薬タイプ

注射タイプ

硝酸剤(一酸化窒素供与剤)の商品名

飲み薬タイプ

販売中止

  • イソモニット錠20mg
  • シグランコート錠2.5mg/5mg
  • シルビノール錠5mg
  • ステンベルガー錠5mg
  • タイシロール錠10mg/20mg
  • ニトルビン錠5
  • ニトログリセリン舌下錠0.3mg「NK」

塗り薬タイプ

販売中止

  • バソレーター軟膏

貼り薬タイプ

販売中止

  • アンタップテープ40mg
  • ニトラステープ40mg

吸入薬タイプ

スプレータイプ

注射タイプ

sGC刺激剤の商品名

飲み薬タイプ

バイアグラの併用注意薬

バイアグラの併用注意薬について説明する男性

併用禁忌に指定されている薬剤とバイアグラを併用してはいけませんが、他にも、バイアグラと併用を注意すべき薬剤があります

以下に該当する薬剤は、バイアグラと併用する際に注意してください。
場合によっては、思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。

また、該当する薬剤を投与中の方は、バイアグラの処方前に医師に報告してください。

バイアグラの併用注意薬

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PDE5阻害薬(他のED治療薬)が併用注意の理由

バイアグラ以外のPDE5阻害薬、または他のED治療薬との併用使用に関する安全性は確立されていないため、バイアグラとの併用には注意しなければなりません。

バイアグラとレビトラやシアリスなどのED治療薬を併用し、服用しても勃起に対する相乗効果は期待できず、効果の持続時間も変わりません。

バイアグラは、どの用量でも服用は1日1錠までとされています。
なので、「バイアグラとPDE5阻害薬、または他のED治療薬を一緒に飲む」という行為は、1日2錠服用することと同じということになります。

また、同成分のPDE5阻害薬を併用するとバイアグラの有効成分シルデナフィルの1日の最大摂取量50mgを超えて摂取してしまう可能性もあります。

過剰なPDE5阻害薬やED治療薬の摂取は、血管拡張作用が強く働き、低血圧などの副作用のリスクが高まるので危険です。
医師の指導なく、勝手に独断でPDE5阻害薬、または他のED治療薬とバイアグラを併用して服用しないようにしましょう。

硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を含む点眼薬が併用注意の理由

点眼薬

バイアグラの添付文書には、併用禁忌として指定されていませんが、バイアグラと併用に注意すべき薬剤があります。
それは、ニプラジロール点眼液や二プラノール点眼液、ハイパジールコーワ点眼液などの「点眼薬」です。

これらの点眼薬に含まれるニプラジロールという成分には、他の硝酸剤などと同様に血管拡張作用があるため、注意が必要です。

実際、ニプラジールを含む飲み薬タイプの薬剤、ハイパジールコーワ錠の添付文書には、バイアグラなどのED治療薬(PDE5阻害薬)が併用禁忌として記載されています。
しかし、点眼薬側の添付文書には、PDE5阻害薬は併用禁忌として記載されていません。
併用禁忌に記載されていない理由は、点眼薬の1日のニプラジロール最大摂取量がハイパジールコーワ錠と比べて、ごく少量であるためと考えられます。

いずれにせよ、これらの点眼薬には血管拡張作用のある成分が含まれているので、相互作用を引き起こす可能性を考慮すると、併用は控えたほうが良いでしょう。

硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を含む点眼薬とバイアグラを併用する際は、慎重に投与する必要があるため、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

チトクロームP450 3A4阻害剤が併用注意の理由

肝臓には、チトクロームP450と呼ばれる酵素があり、中でもチトクロームP450 3A4(CYP3A4)は最も重要な代謝酵素で、バイアグラの有効成分シルデナフィルは、その酵素によって分解・代謝されます。

チトクロームP450 3A4阻害剤とは、そのCYP3A4の働きを阻害する薬剤の総称です。
チトクロームP450 3A4阻害剤には、「抗HIV薬(プロテアーゼ阻害薬)」「マクロライド系抗菌薬」「トリアゾール系抗真菌薬」「H2受容体拮抗薬(H₂ブロッカー)」などの薬剤に含まれる成分が該当し、バイアグラと併用を注意すべきです。

チトクロームP450 3A4阻害剤とバイアグラを併用すると、肝臓の代謝能力が低下し、有効成分シルデナフィルの血中濃度が上昇して効き目が強く出たり、半減期が延長され副作用が強く出る可能性があります。

そのため、バイアグラの添付文書にはチトクロームP450 3A4阻害剤(リトナビル、ダルナビル、エリスロマイシン、シメチジン、ケトコナゾール、イトラコナゾールなど)が併用注意薬として指定されています。

チトクロームP450 3A4阻害剤とバイアグラを併用する際は、慎重に投与する必要があるため、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

チトクロームP450 3A4誘導剤が併用注意の理由

チトクロームP450 3A4誘導剤とは、CYP3A4の働きを誘導する薬剤の総称です。
チトクロームP450 3A4誘導剤には、「エンドセリン受容体拮抗薬」「結核・ハンセン病治療薬」「ヒダントイン系抗てんかん薬」「バルビツール酸系抗てんかん薬」などの薬剤に含まれる成分が該当し、バイアグラと併用を注意すべきです。

チトクロームP450 3A4誘導剤とバイアグラを併用すると、肝臓の代謝能力が向上し、有効成分シルデナフィルの血中濃度が低下して効き目が弱くなったり、効果が得られなくなる可能性があります。

そのため、バイアグラの添付文書にはチトクロームP450 3A4誘導剤(ボセンタン、リファンピシンなど)が併用注意薬として指定されています。

チトクロームP450 3A4誘導剤とバイアグラを併用する際は、慎重に投与する必要があるため、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

降圧剤が併用注意の理由

降圧剤は、血圧を下げる作用によって高血圧を治療し、心血管疾患などを予防するために使用される薬剤です。

降圧剤には、血圧を下げる作用の仕組みによって、大きく5つのタイプに分けられます。

降圧剤のタイプ

カルシウム拮抗剤 血管に直接作用し、血管を拡張させ、血圧を下げる薬剤
α遮断剤 自律神経に作用し、血管の収縮を抑え、血圧を下げる薬剤
β遮断剤 心臓に作用し、血流量を減らして、血圧を下げる薬剤
利尿剤 腎臓に作用し、尿量を増やして、体内の血液量を減少させ、血圧を下げる薬剤
ACE阻害剤
(アンジオテンシン変換酵素阻害剤)
血圧を上げる物質に作用し、こうした物質の産生を抑え、血圧を下げる薬剤

上記の降圧剤は、主に経口服用の「飲み薬」タイプで、バイアグラと併用を注意すべき薬剤です。

降圧剤やバイアグラは、どちらも血管拡張作用によって、血圧低下を招く働きを持っています。
降圧剤とバイアグラを併用すると、過度の血圧低下を招き、「めまい」「失神」などの副作用を引き起こす可能性があります。

そのため、バイアグラの添付文書には降圧剤(アムロジピンなど)が併用注意薬として指定されています。

降圧剤とバイアグラを併用する際は、慎重に投与する必要があるため、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

α遮断剤が併用注意の理由

飲み薬

α遮断剤は、αブロッカーとも呼ばれる降圧剤の一種で、高血圧の治療や前立腺肥大症治療薬として使用される薬剤です。

交感神経受容体の内α₁受容体を選択的に遮断し、血管平滑筋が弛緩され、血管拡張作用が働き、血圧低下をもたらします。
α遮断剤には、「飲み薬タイプ」「点眼薬タイプ」などがありますが、いずれもバイアグラと併用を注意すべき薬剤です。

α遮断剤とバイアグラを併用すると、血圧が低下しやすくなり、「めまい」「起立性低血圧(立ちくらみ)」などの副作用を引き起こす可能性があります。

現在、α遮断薬は、ALLHAT(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial:心臓発作を予防するための降圧および脂質低下治療)という降圧剤の大規模臨床試験が報告されてから、降圧剤としての使用頻度は激減しています。
ただし、降圧剤としてはファーストチョイスされないα遮断剤ですが、全く使用されないわけではありません。

そのため、バイアグラの添付文書にはα遮断剤(ドキサゾシンなど)が併用注意薬として指定されています。

α遮断剤とバイアグラを併用する際は、慎重に投与する必要があるため、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

カルペリチドを含む薬剤が併用注意の理由

カルペリチドを含む薬剤は、急性心不全などの虚血性心疾患の治療に使用される心不全治療薬です。

カルペリチドは、α型ヒトナトリウム利尿ペプチドの受容体に結合し、膜結合性グアニル酸シクラーゼを活性化させることにより、細胞内cGMPを増加させ、血管拡張作用や利尿作用をもたらします。
カルペリチドを含む薬剤としては、非経口投与(注射)の「ハンプ注射用1000」が、急性心不全を治療できる日本国内で唯一の心不全治療薬であり、バイアグラと併用を注意すべき薬剤です。

カルペリチドを含む薬剤やバイアグラは、どちらも血管拡張作用を持っています。
現在、カルペリチドを含む薬剤とバイアグラの併用による相互作用に関しての臨床試験や基礎実験データはありませんが、併用により双方が持つ血管拡張作用で、過度の血圧低下を招く可能性があります。

そのため、バイアグラの添付文書にはカルペリチドを含む薬剤が併用注意薬として指定されています。

カルペリチドを含む薬剤とバイアグラを併用する際は、慎重に投与する必要があるため、バイアグラの処方前に医師に相談しましょう。

バイアグラの併用注意薬一覧

商品名ごとにバイアグラの併用注意の薬剤を一覧化していますので、参考にしてください。

また、当クリニックに来院の際、下記に該当する薬剤を服用していたり、他に服用している薬剤があれば、薬の薬品名が分かるものを必ずお持ちください。

PDE5阻害薬(他のED治療薬)の商品名

飲み薬タイプ

硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を含む点眼薬の商品名

点眼薬タイプ

チトクロームP450 3A4阻害剤の商品名

飲み薬タイプ

販売中止

  • テラビック錠250mg

塗り薬タイプ

注射タイプ

点眼薬タイプ

販売中止

  • エリコリ眼軟膏T

チトクロームP450 3A4誘導剤の商品名

飲み薬タイプ

注射タイプ

降圧剤の商品名

飲み薬タイプ

α遮断剤の商品名

飲み薬タイプ

販売中止

  • ハイトラシン錠0.25mg/0.5mg/1mg/2mg

点眼薬タイプ

カルペリチドを含む薬剤の商品名

注射タイプ

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ED治療のよくある質問(FAQ)

ED治療薬に副作用はありますか?

ED治療薬によって細かい副作用は異なりますが、一時的な顔のほてり、頭痛、鼻づまりなどが見受けられる場合があります。

様々な薬を飲んでいますが、ED治療薬は飲めますか?

ニトログリセリン(心臓の狭心症に用いる薬)との併用はできません。
服用中の薬によってはED治療薬の処方ができません。
服用中の薬やお薬手帳を持参して医師にご相談ください。

バイアグラ、レビトラ、シアリスの違いはなんですか?

有効成分、効き始める時間、効果持続時間(作用時間)、副作用、価格などに違いがあります。
詳しくは、こちらをご覧ください。

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