ED(勃起不全)の治療方法には「陰茎プロステーシス移植手術」という外科手術が存在します。
ED治療の中でも、最終手段として行われる治療方法で知られています。
今回は、そんな陰茎プロステーシス移植手術というED治療について徹底解説します。
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陰茎プロステーシス移植手術とは?
陰茎プロステーシス移植手術とは、陰茎海綿体内にプロステーシス(シリコンなどで作られた人工的なインプラント)と呼ばれる特殊な器具を埋め込み、疑似的に勃起を実現させるED治療です。
主に「インフレータブル陰茎プロステーシス」や「ノンインフレータブル陰茎プロステーシス」という2種類の手術方法があります。
プロステーシスの移植後は、性行為に十分な硬さを維持することが可能になります。
プロステーシスの種類によっては、勃起させたい任意のタイミングで勃起状態を実現することが可能です。
陰茎プロステーシス移植手術が成功すれば、ほぼ100%、確実にEDが改善できます。
ただし、陰茎や体内に特殊な器具を埋め込むため、自然な勃起を実現することはできなくなります。
それでも、正常の勃起時に血液が充満する陰茎海綿体内に移植されるため、手術後の違和感が少なく、ED治療薬の服用や勃起補助器具の使用、陰茎海綿体注射治療(ICI治療)などのED治療よりも満足度が高いとされています。
また、この手術後は、陰茎や体内に移植した器具を取り外すことが難しいため、後戻りできない治療方法としても知られています。
他のED治療で改善できなかった場合に「最終手段」として行われる治療方法なのです。
手術後に「勃起補助具や陰茎海綿体注射治療を試してみたい!」と思ってもできなくなります。
今後の性生活や人生に関わることなので、しっかり医師と相談した上で手術するかどうかを決める必要があります。
陰茎プロステーシス移植手術が必要と思われる方
陰茎プロステーシス移植手術は、ED治療薬の服用や勃起補助器具の使用、陰茎海綿体注射治療(ICI治療)などのED治療で十分な勃起効果を得られなかった方やそれらの治療方法が適応外の方が最終手段として行うものです。
陰茎プロステーシス移植手術を検討しても良い方
- ED治療薬で十分な勃起効果が得られない方
- ペニスポンプなどの勃起補助器具で十分な勃起効果が得られない方
- 陰茎海綿体注射治療(ICI治療)で十分な勃起効果が得られない方
- 勃起機能が消失した重度の器質性EDの方(前立腺がん手術後など)
- etc...
後戻りできない治療方法なので、陰茎プロステーシス移植手術を受けるかどうかは慎重に判断しましょう。
陰茎プロステーシス移植手術の種類
陰茎プロステーシス移植手術には、液体の移動によるポンプ式「インフレータブル陰茎プロステーシス」と棒状器具の曲げ延ばし式「ノンインフレータブル陰茎プロステーシス」という2種類の手術方法があります。
どちらも共通して、手術の約1ヶ月後には自慰行為(マスターベーション)が可能となり、約2ヶ月後には性行為が可能になるとされています。
陰茎プロステーシス移植手術の種類
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インフレータブル陰茎プロステーシス
インフレータブル陰茎プロステーシスとは、滅菌精製水などの液体をポンプで伸縮性のあるシリンダー内に注入することにより、性行為が可能な勃起状態を疑似的に作り出す方法です。
腹部には「リザーバー(液体を貯めるタンク)」、陰嚢部には「ポンプ(液体を送り出す装置)」、陰茎海綿体内には2本の「シリンダー」をそれぞれ手術で挿入します。
これら3つの器具は、壊れにくい管で繋がっており、全て陰茎や体内に隠されます。
性行為を行う際(勃起させたい時)は、何度かポンプを絞ってリザーバーから滅菌精製水などの液体を送り出し、管を通って2本のシリンダーへ移動させます。
シリンダーに液体が移動して膨らむと、陰茎海綿体へ血液が流れ込むかの様に自然なプロセスで勃起状態が作り出せます。
また、ポンプのリリース弁部分を押し続けると液体がシリンダーから抜け、リザーバーへ戻るので、陰茎をたるんだ状態に戻すことができます。
必要な時にだけ、ポンプを操作して勃起を実現でき、非勃起時には柔らかい状態に戻すことができるのです。
インフレータブル陰茎プロステーシスの主な商品
- American Medical Systems社製:AMS 700
- American Medical Systems社製:AMS Ambicor
- Coloplast社製:Titan
- etc...
インフレータブル陰茎プロステーシスの手術で使用する材料は、メーカーによって様々な種類があります。
インフレータブル陰茎プロステーシスのメリット
インフレータブル陰茎プロステーシスは、後述するノンインフレータブル陰茎プロステーシスより自然な勃起状態の実現が可能です。
また、ノンインフレータブル陰茎プロステーシスより性行為に十分な硬さや膨らみを得ることができます。
器具は全て体内に隠れ、非勃起時は柔らかくて自然な状態なので、日常生活に違和感や支障をきたすことなく過ごすことができます。
インフレータブル陰茎プロステーシスのメリット
- ノンインフレータブル陰茎プロステーシスより自然な勃起状態の実現が可能
- ノンインフレータブル陰茎プロステーシスより硬さや膨らみが得られる
- 非勃起時は、柔らかくて自然な状態になる
- 器具は全て体内に隠れる
- 患者ごとに適応したサイズがある
- etc...
インフレータブル陰茎プロステーシスのデメリット
インフレータブル陰茎プロステーシスの手術は若干複雑になるので、ポンプやリザーバーなどから液体が漏れたり、器具の機械的な故障の発生率が高い傾向があります。
体内に埋め込む器具は高額なため、手術費用と合わせると自動車が1台購入できてしまう費用になってしまうことも珍しくありません。
また、全身麻酔が必要な手術なので、入院しなければならないこともあります。
ポンプの操作には細かい操作が必要なため、手先が思うように動かない方は扱いづらいこともあります。
インフレータブル陰茎プロステーシスのデメリット
- 手術費用が高額になりがち
- 全身麻酔が必要な手術なので、入院しなければならない
- 勃起させるために指先で細かい操作が必要
- 体内で液体が漏出するなど器具が故障する可能性がある
- etc...
ノンインフレータブル陰茎プロステーシス
ノンインフレータブル陰茎プロステーシスとは、曲げ伸ばしができるシリコン製の棒状器具を陰茎海綿体内に挿入し、性行為が可能な勃起状態を疑似的に作り出す方法です。
陰茎海綿体内の左右どちらか片側(1本)、または両側(2本)挿入することになります。
手術後は、常に硬い陰茎でサイズが変わることはほとんどありません。
そのため、性行為を行う際(勃起させたい時)は、陰茎ごと器具を伸ばすことで疑似的に勃起状態を再現する簡単な仕組みとなっています。
勃起が不要な場合は、陰茎ごと器具を曲げるだけです。
シンプルな構造のため、手術は局所麻酔のみの日帰り手術で比較的簡単に済む場合があります。
ノンインフレータブル陰茎プロステーシスの主な商品
- American Medical Systems社製:AMS 600
- American Medical Systems社製:AMS DuraII
- American Medical Systems社製:AMS Spectra
- Coloplast社製:Genesis
- Promedon社製:TUBE
- etc...
ノンインフレータブル陰茎プロステーシスの手術で使用する材料は、メーカーによって様々な種類があります。
ノンインフレータブル陰茎プロステーシスのメリット
構造自体がシンプルなため、故障によるトラブルが起こりにくいという特徴があります。
また、単純に陰茎の角度を変えるだけなので、手先が器用ではない方でも簡単に操作可能です。
局所麻酔のみで日帰り手術が可能な場合もあり、比較的手術費用も安くなることもメリットの一つです。
ノンインフレータブル陰茎プロステーシスのメリット
- シンプルな器具なので、故障が少ない
- 手先が器用ではない方でも簡単に操作が可能
- インフレータブル陰茎プロステーシスに比べると手術費用が安い
- 器具は全て体内に隠れる
- 局所麻酔で日帰り手術が可能な場合がある
- etc...
ノンインフレータブル陰茎プロステーシスのデメリット
手術後は、常に硬い陰茎となるため、日常生活で違和感を感じることがあります。
また、棒状器具を2本陰茎海綿体に挿入した場合は、自然な勃起が二度とできなくなります。
その他、膀胱鏡検査などで障害になる場合があるので、注意が必要です。
ノンインフレータブル陰茎プロステーシスのデメリット
- 非勃起時も陰茎は常に硬い状態になる
- 自然な勃起は不可能になる
- 膀胱鏡検査などで障害になる場合がある
- etc...
陰茎プロステーシス移植手術の効果やメリット
陰茎プロステーシス移植手術には、主に「インフレータブル陰茎プロステーシス」と「ノンインフレータブル陰茎プロステーシス」がありますが、どちらもほぼ確実にEDの改善が見込めます。
プロステーシスの器具の違いによるメリットの差はありますが、受ける効果の恩恵はどちらも大きく差はありません。
一度手術してしまえば、ED治療薬の様に毎回性行為前に薬剤の服用が必要ないので、自然な流れで性行為をすることができます。
性行為中のピストン運動から絶頂(オーガズム)を迎えて射精に至るまでに障害となるようなことはないため、満足度の高い性行為も可能になります。
また、バイアグラなどのED治療薬や陰茎海綿体注射の費用が発生することもなくなります。
陰茎プロステーシス移植手術のメリット
- ほぼ確実にEDが改善する
- 雰囲気を壊さず自然な性行為が可能
- 絶頂(オーガズム)や射精に悪影響を与えない
- 性行為ごとにED治療薬や陰茎海綿体注射などの費用がかからない(ランニングコストが低い)
- 満足度の高い性行為が可能(充実した性生活を送れる)
- 任意のタイミングで勃起したり、勃起状態を持続できる
- etc...
陰茎プロステーシス移植手術の副作用やデメリット
ほぼ確実にEDの改善が見込める陰茎プロステーシス移植手術ですが、欠点もいくつか存在します。
手術後には、自然な勃起がほぼ不可能になるということを覚えておきましょう。
陰茎海綿体内に器具を埋め込むという特性上、本来の勃起機能は永続的に失われてしまうのです。
そして、手術後は切開した箇所の治癒期間が必要になるので、約1ヶ月~2ヶ月は自慰行為や性行為が不可能になります。
また、感染予防のため、埋め込まれる器具は表面に抗菌加工がされていますが、人体にとっては異物に変わりなく、感染症のリスクが高まるといったことがあります。
実際に感染症を引き起こしてしまった場合や器具が故障してしまった場合は、器具の摘出など再手術をする必要があります。
陰茎プロステーシス移植手術はメリットの多いED治療方法ですが、絶対に安心安全な方法ではないということは覚えておきましょう。
その他、保険が適用されない治療のため、単純に手術費用が高額になりやすく、経済的負担が大きくなることもデメリットと言えます。
陰茎プロステーシス移植手術のデメリット
- 感染のリスクがある
- 自然な勃起はほぼ不可能になる
- 手術後の治癒期間が必要になる(約1ヶ月~2ヶ月)
- 器具が故障すると再手術が必要になる
- 手術費用が高額になりがち
- etc...
陰茎プロステーシス移植手術の費用
陰茎プロステーシス移植手術には保険が適用されません。
患者が医療費の全額を負担する、自由診療となっています。
陰茎プロステーシス移植手術の費用は、手術を受ける医療機関や移植するプロステーシスの種類、メーカーなどにもよりますが、約100万円~(税込)が一般的です。
費用には、手術前の検査費用や移植するプロテーシスの器具代、麻酔代なども含まれています。
手術には局所麻酔、または全身麻酔が必要になるため、必ず麻酔代が発生します。
移植するプロテーシスの器具も個人輸入で海外から取り寄せ、購入しなければいけません。
事前に精密検査が伴う、長時間の手術になるため、必然的に費用は高額にならざるを得ないのです。
EDの改善は見込めますが、経済的な負担が大きくなってしまうということを覚えておきましょう。
まとめ~陰茎プロステーシス移植手術は最終手段~
陰茎プロステーシス移植手術は一度行ってしまうと後戻りすることができません。
この手術が人生の転機となるように後悔しない決断をする必要があります。
ED治療のため、陰茎プロステーシス移植手術に至る前に、もう本当に他の手段が残されていないのか医師と相談しておきましょう。
バイアグラなどのED治療薬の服用で解決できる場合も少なくないはずです。
どうしても陰茎プロステーシス移植手術を受けたいという方は、最新の設備が整っており、治療実績のある医師による手術を受けるようにしましょう。
特に、治療実績が多く、手術後のトラブルや合併症の経験が少ないしっかりとした熟練の医師を選ぶことが大切です。
スタッフより
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