バイアグラの食事の影響|食前・食後の服用タイミングや相性の悪い食品

バイアグラの食事の影響|食前・食後の服用タイミングや相性の悪い食品

バイアグラは食事の影響を受けやすいED治療薬のため、食事前後に服用したい場合は注意事項などをしっかりと理解しておくことが大切です。
特に脂肪分を多く含む食事と一緒に飲んだり、バイアグラの成分である「シルデナフィル」との相互作用を引き起こす食品と併用したりすると、血中のバイアグラ濃度に影響を与えかねません。

今回は、バイアグラを服用する際の食前・食後の服用タイミングや、相性の悪い食品を紹介しています。
適切にバイアグラの効果を発揮させて勃起力を向上させるためにも、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者

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新橋ファーストクリニック 院長

市村 明

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バイアグラと食事の関係|食前・食後の服用タイミング

バイアグラを服用する際は、食前・食後で一定の間隔を空けることが望ましいとされています。
食前・食後で推奨されるバイアグラの服用タイミングを以下に示しました。

食前・食後で推奨されるバイアグラの服用タイミング

食前の服用であれば、約30分以上空ければ問題ないケースが多いです。
一方で、食後に服用する場合は比較的長時間空ける必要があります。

以下で詳しく解説します。

服用してから約30分以上は食事を避ける

バイアグラの服用後、少なくとも約30分経過するまでは食事を避けることが望ましいとされています。
服用してから約30分以内は、有効成分のシルデナフィルが血中に吸収されるフェーズです。

その間に食事を取ってしまうと、腸壁に張られた油の膜がシルデナフィルの吸収を阻害してしまいます。
結果として、効果の発現が遅くなったり、効果が弱まったりする可能性があります。

シルデナフィルが血中に吸収され身体に巡った約30分後以降であれば、食事を取っても問題ありません。

食事をしてから約2時間以上は服用を避ける

食後のバイアグラ服用も、血中へのバイアグラの吸収速度や血中濃度を低下させる可能性があるため注意が必要です。

一般的な食事であれば、食後約2時間以上空ければバイアグラを飲んでも問題ない場合が多いとされています。
しかし、肉や天ぷらなどの脂っこい食事の場合、前述したように腸壁に油の膜が張られてしまうため、バイアグラの効果を十分に発揮できなくなる可能性があります。

脂っこい食事は消化されるまでに約4時間〜5時間を要するといわれているため、同等の時間を空けてからバイアグラを服用することが望ましいです。
ただし、過度に脂っこい食事の場合は消化に約7時間〜8時間かかることもあるため、バイアグラの服用前の食事はできるだけ避けるようにしてください。

空腹時に服用すると効果を実感しやすくなる

バイアグラ(シルデナフィル)50mgを食後・空腹時に服用した場合の血漿中濃度の推移

胃や腸の中でバイアグラと飲食物が混在すると、前述したように腸壁の油の膜の影響でバイアグラの効き目に影響を与える恐れがあります。
そのため、バイアグラの効果を実感するには空腹時に服用するのが望ましいです。

実際に、食後と空腹時にバイアグラを服用した場合の影響を比較した調査結果が報告されています。
結論としては、空腹時に服用したほうが血中のシルデナフィル濃度が高くなり、濃度がピークに至るまでの時間が早まっていることがわかります。

このことから、バイアグラは可能な限り空腹状態で服用したほうが勃起力向上効果を得やすいといえるでしょう。

バイアグラ服用前後の食事で避けるべき食べ物リスト

焼肉や天ぷらなどの油っこい食べ物消化吸収の悪い食べ物は、バイアグラの服用前にはできるだけ控えるべきでしょう。
食後2時間以上経過しても食べ物が胃に残ることがあり、その状態でバイアグラを服用すると効果が弱まる可能性があるからです。

また、服用時に相互作用を引き起こす可能性のある食べ物も存在するので覚えておきましょう。

注意すべき食べ物

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避けるべき食べ物の代表例 影響レベル
高脂肪食全般 吸収速度が変化する
食物繊維の多い食べ物
グレープフルーツ(フラノクマリン類を含む食べ物) 健康被害のリスクが生じる

高脂肪食全般

ヒレカツ

フィルムコーティング錠のバイアグラは、胃で溶けだしたあとに腸から有効成分シルデナフィルが吸収され、血中に取り込まれます。

油っこい食べ物によって、胃や腸に油などの膜が張るとシルデナフィルが吸収されにくくなります。
空腹時に服用するのと比べて、効果の発現が遅れたり、効果を得られなくなったりします。

以下の油っこい食べ物は、バイアグラの服用前にはできるだけ控えるべきでしょう。

油っこい食べ物(一例)

  • 焼肉
  • ステーキ
  • 天ぷら
  • 中華料理
  • ラーメン
  • etc...

ある研究によると、高脂肪を含む朝食(脂肪:67.9g、タンパク質:49.9g、炭水化物:44.8g)を取り、5分以内にバイアグラの錠剤を服用したところ、成分が全身に循環した割合が約1割低下することが明らかとなりました。

また、血中濃度が半分になるまでの時間を示す指標である半減期が0.35時間延長されたことから、高脂肪食はシルデナフィルの代謝にも影響を与えることが示されています。

この結果から、脂っこい食事とバイアグラの併用がただちに大きな問題となるとは言い切れないものの、少なからずバイアグラの吸収挙動に影響を与えうるといえます。
食事前後にバイアグラを服用する場合は、できるだけ脂肪分の少ないあっさりとした食事を心がけましょう。

食物繊維の多い食べ物

バナナ

整腸効果や血中コレステロールの低下など健康に良いとされる食物繊維ですが、実は胃で消化吸収されず、腸まで達する食べ物です。
そのため、食物繊維の多い食べ物は消化吸収までに時間がかかり、食後2時間以上経過しても食べ物が胃に残ることがあります。

以下の食物繊維が多い食べ物は、バイアグラの服用前にはできるだけ控えるべきでしょう。

食物繊維の多い食べ物(一例)

  • ごぼう
  • ひじき
  • わかめ
  • オートミール
  • こんにゃく
  • バナナ
  • きくらげ
  • しいたけ
  • etc...

ある研究によると、食物繊維とともにバイアグラを服用することで、バイアグラの成分が全身を循環する割合が低下する可能性が示唆されています。
結果として、バイアグラ本来の効果が弱まってしまう可能性があるため、食物繊維を多く含む食事を取る際には注意が必要です。

グレープフルーツ(フラノクマリン類を含む食べ物)

グレープフルーツ

バイアグラの添付文書には記載されていませんが、グレープフルーツとバイアグラは一緒に服用しないでください。
一緒に服用すると、相互作用を引き起こす可能性があるからです。

グレープフルーツに含まれる成分「フラノクマリン類」は、服用した薬の成分を分解する体内酵素の働きを弱めてしまい、成分の血中濃度が上昇して効果や副作用が強く出る恐れがあります。

グレープフルーツ以外にも、フラノクマリン類が含まれている食べ物があるので注意しましょう。

フラノクマリン類を含む食べ物(一例)

  • グレープフルーツ
  • スウィーティー
  • 文旦(ブンタン)
  • 八朔(ハッサク)
  • 甘夏ミカン
  • ライム
  • パセリ
  • セロリ
  • etc...

グレープフルーツは、バイアグラのほかにも様々な薬剤と相互作用を示し、薬剤の血中濃度を高めることが報告されています。
つまり、本来よりも予期せぬ副作用を引き起こしたり、過剰に効果が強まったりすることがあるのです。

なお、後述するレビトラジェネリックやシアリスといったほかのED治療薬も同様の相互作用が起こり得るため、グレープフルーツとの併用は避けるようにしてください。

バイアグラ服用前後の食事で避けるべき飲み物リスト

バイアグラ錠は水、またはぬるま湯で服用すべきです。
それ以外の飲み物はおすすめできないので、できるだけ控えるべきでしょう。

また、バイアグラの服用時に相互作用を引き起こす可能性のある飲み物も存在するのでしっかりと覚えておきましょう。

注意すべき飲み物

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避けるべき飲み物の代表例 影響レベル
牛乳 吸収速度が変化する
カフェインを含む飲み物
フラノクマリン類(グレープフルーツジュースなど)
健康被害のスリクが生じる

牛乳

牛乳

牛乳などの脂肪分を多く含む飲み物を摂取すると、胃や腸の表面に膜が張られて、有効成分シルデナフィルの消化吸収が悪くなり、効果が弱まることがあります。

そのため、バイアグラの服用前はできるだけ控えましょう。
バイアグラを牛乳で服用することもおすすめできません。

また、牛乳に限らず、その他の乳性飲料やココナッツミルクなども脂肪分が多いので、バイアグラと一緒に摂取しないよう気を付けましょう。

カフェインを含む飲み物

コーヒー

カフェインを含む飲み物をバイアグラと一緒に服用すること自体は、特に問題ありません。

しかし、バイアグラを服用する際に、副作用の頭痛防止などを目的としてカフェインを含む解熱鎮痛薬(市販薬を含む)を併用していた場合は、過剰なカフェイン摂取となる可能性があるので注意が必要です。

健康な成人の場合は、カフェインの摂取量を1日最大400mgまでとすることが推奨されています。
1日にそれ以上のカフェインを摂取すると、頭痛や吐き気、不眠などを引き起こす「カフェイン中毒」を引き起こす可能性があります。

以下のカフェインを含む飲み物でバイアグラを服用する際は、過剰なカフェイン摂取にならないよう気を付けましょう。

カフェインを含む飲み物(一例)

  • 緑茶
  • 烏龍茶
  • 抹茶
  • 玉露
  • 紅茶
  • コーヒー
  • etc…

紅茶やコーヒーに牛乳を混ぜ、ミルクティーやカフェラテなどにした場合もおすすめできません。

また、海外製のエナジードリンクは、日本の製品より缶のサイズが大きく内容量が多いので、無意識のうちにカフェインの過剰摂取に陥りやすいことにも注意しましょう。

お酒(アルコール)

日本酒

お酒に含まれるアルコール自体がバイアグラの成分と相互作用を引き起こして効果が弱まることは報告されていません。

しかし、アルコールの多量摂取は、神経伝達機能を低下させることがあります。
性的な刺激が神経を通して陰茎に伝わりにくくなり、勃起や射精に至りにくくなる可能性があるのです。

また、有効成分シルデナフィルの血管拡張作用により、アルコールが体内を巡りやすくなります。
そのため、多量のアルコールをバイアグラと同時に摂取すると、急激な血圧低下によるめまいやふらつき、急性アルコール中毒を招く恐れがあり危険です。

アルコール自体にリラックス効果はあるので、ほろ酔い程度の飲酒であればむしろ勃起力を向上させることもあります。

一般的に血中アルコール濃度が0.05%~0.1%(50mg~100mg/dL)の間を「ほろ酔い」状態といいます。
目安としては、日本酒なら1合~2合まで、ビールや発泡酒なら500mL缶1本までがほろ酔いの基準です。

性行為に不安があったり、緊張してしまったりする方は、軽くお酒を飲んでおくと気持ちが落ち着いてリラックスしながら性行為に臨めるでしょう

グレープフルーツジュース(フラノクマリン類を含むジュース)

グレープフルーツジュース

前述のように、グレープフルーツなどに含まれるフラノクマリン類は血中のシルデナフィル濃度を高める可能性があるため、想定外の効果が出たり副作用が強まったりする恐れがあります。

グレープフルーツジュースにはグレープフルーツの果汁が濃縮されているため、その分フラノクマリン類の摂取量が多くなりやすいのです。
そのため、グレープフルーツジュースとバイアグラなどのED治療薬を一緒に服用するのは危険な行為だと理解しておいてください。

ある研究によると、グレープフルーツジュースはシルデナフィルの吸収を遅らせ、血中濃度を高めたと報告されています。
グレープフルーツジュースとバイアグラの併用によって、予期せぬ身体被害を招く恐れがあることを示した研究結果といえます。

なお、エナジードリンクにもグレープフルーツ果汁が含まれている場合があるので、バイアグラと併用する際には含有成分をしっかりと確認しましょう。

ザクロジュース

ザクロジュース

ザクロジュースもフラノクマリン類を含むジュースとして知られています。
直接的な関係は不明ですが、ザクロジュースとバイアグラの主成分シルデナフィルを併用し、そのあと持続勃起症を発症した報告があります。

持続勃起症とは、性的刺激がないタイミングであっても異常な勃起が4時間以上継続する症状です。

通常、ED治療薬は性的刺激がなければ勃起には至りません。
そのため、上記の報告はザクロジュースとバイアグラの併用により予期せぬ事態が生じた可能性があります。

ザクロジュースをはじめとしたフラノクマリン類を含む飲食物はバイアグラとの相性が悪く、重篤な症状を誘発する危険性があるのを認識しましょう。

バイアグラより食事の影響を受けにくいED治療薬

食事の影響の受けにくさは、ED治療薬の種類によって異なることが知られています。
以下に、食事の影響の受けやすさをED治療薬別にまとめました。

ED治療薬 標準的な食事 高脂肪食
バイアグラ 影響を受けやすい 影響を受けやすい
レビトラ 影響を受けにくい 影響を受けやすい
シアリス 影響を受けにくい 影響を受けにくい

バイアグラは、ED治療薬の中でも特に食事の影響を受けやすく、標準的な食事を取る際もより一層の注意が必要です。

一方で、レビトラは高脂肪食の場合は影響を受けやすいものの、標準的な食事であれば問題にならないケースが多いです。

シアリスの場合は、標準的な食事であっても影響を受けにくいとされています。

以下では、それぞれのED治療薬の特徴や食事の影響を詳しく解説します。
バイアグラの食事の影響が気になる方は、レビトラやシアリスといったED治療薬も視野に入れてみてください。

レビトラジェネリック

バルデナフィル錠

レビトラジェネリック(バルデナフィル)とは、ED治療薬「レビトラ」のジェネリック医薬品です。

先発医薬品のレビトラは2021年10月をもって販売が中止していることから、代替としてレビトラジェネリックが提供されています。

ほかのED治療薬と比べると即効性が高い部類で、かつ高い勃起力向上効果があることが知られています。

レビトラジェネリックの成分であるバルデナフィルのインタビューフォームによると、健康的な男性に対してバルデナフィル20mgを標準的な食事を取った直後に服用したところ、バルデナフィルの吸収に関する影響は確認されなかったと報告されました。

脂肪分の少ない食事であれば、レビトラジェネリックは影響を受けにくいといえるでしょう。

シアリス

シアリス

シアリスは、服用してからの効果持続時間が約24時間〜36時間と特に長いのが特徴のED治療薬です。

シアリスの有効成分であるタダラフィルは、血中への吸収速度がバイアグラやレビトラジェネリックよりも遅い性質があることから、体内をより長時間循環し続けられるのです。

また、シアリスは食事への影響が比較的少ないことがわかっているため、シアリス特有の持続時間の長さを過度に気にする必要はありません。

シアリスのインタビューフォームによると、健康的な成人に対して高脂肪食を取った直後にシアリス20mgを服用したが、タダラフィルの吸収に関する影響は確認されなかったと報告しています。

ED治療薬である以上、食事前後の服用を避けるに越したことはありませんが、中でもシアリスはバイアグラよりも食事の影響を受けにくいED治療薬といえます。

まとめ|バイアグラは食事の影響を受けやすいため服用タイミングに注意

バイアグラは、ED治療薬の中でも食事の影響を受けやすいことがわかっています。
服用する際には、食前30分以上、食後2時間以上の間隔を空けるようにしてください。

特に高脂肪食を取る場合は、食後からバイアグラ服用までの間隔をより長く設けるのを推奨します。

バイアグラの食事の影響が煩わしい場合は、レビトラジェネリックやシアリスといったほかのED治療薬も併せて検討してみてください。
特にシアリスは、ED治療薬の中でも食事の影響を受けにくいことがわかっています。

ED治療薬と食事の関係を正しく理解しつつ、医師にしっかりと相談したうえで自身のライフスタイルに合った適切なED治療薬を選択してください。

参考URL

バイアグラの関連ページ

ED治療のよくある質問(FAQ)

ED治療薬に副作用はありますか?

ED治療薬によって細かい副作用は異なりますが、一時的な顔のほてり、頭痛、鼻づまりなどが見受けられる場合があります。

様々な薬を飲んでいますが、ED治療薬は飲めますか?

ニトログリセリン(心臓の狭心症に用いる薬)との併用はできません。
服用中の薬によってはED治療薬の処方ができません。
服用中の薬やお薬手帳を持参して医師にご相談ください。

バイアグラ、レビトラ、シアリスの違いはなんですか?

有効成分、効き始める時間、効果持続時間(作用時間)、副作用、価格などに違いがあります。
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