糖尿病患者は、ED(勃起不全)のリスクを増大させます。
糖尿病が原因で生じるEDには「糖尿病性ED」という名称もあるほどで、適切な対処をしなければEDの改善には至りません。
今回は、糖尿病とEDの関係や糖尿病性EDの治療方法を解説します。
EDの原因となる糖尿病のサインや、日頃からできる糖尿病の対策法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
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糖尿病とは
糖尿病とは、生活習慣病の一つであり、血中に含まれる糖の濃度が正常よりも高い数値を示す病気です。
糖は血管にとって刺激物のため、血糖値が増えると血管の内壁がダメージを受けて炎症を引き起こします。
やがてコレステロールの塊が血液の通り道を狭め、血流を悪化させるのが糖尿病の怖いところです。
また、高い糖濃度の血液が全身を回れば、臓器や神経も傷ついて様々な機能障害を引き起こします。
場合によっては心筋梗塞や失明に至るケースもあります。
EDとは
ED(勃起不全)とは、性行為の際に勃起できない、あるいは陰茎が十分に硬くならないことにより、満足な性行為に至らない症状を指します。
性行為の途中で勃起力が弱まってしまう、いわゆる中折れもEDに見られる症状の一つです。
EDの程度は日によっても左右されます。
ある日は問題なく性行為できても、別の日は勃起力が持続せず性行為に失敗してしまうといった場合は、軽度のEDに当てはまります。
性行為できなくなる!?糖尿病とEDの関連性
糖尿病にかかると、EDを発症するリスクが高まると言われています。
その原因として、EDの要因と糖尿病の症状が深く関係しています。
EDの4分類
- 器質性ED:血管や神経の機能低下によるED
- 心因性ED:不安などのストレスによるED
- 薬剤性ED:薬剤の副作用などが引き起こすED
- 混合性ED:上記のいずれかが複合するED
前述の通り、糖尿病は血管や神経の機能障害を引き起こすため、器質性EDに直結します。
そのショックやストレスが引き金となり、心因性EDを併発するケースも考えられるでしょう。
ほかにも、糖尿病治療に用いる薬剤の副作用などによって、薬剤性EDを引き起こす可能性もあります。
このように、糖尿病がトリガーとなり、複数の要因を含んだ混合性EDとして糖尿病性EDを発症するケースが多いです。
糖尿病がEDを誘発しやすい理由
ここまで糖尿病とEDの関連性について解説しました。
以下では、糖尿病がEDを誘発しやすい理由を詳しく解説します。
糖尿病性EDに対する正しい対処法を行うためにも、しっかりと理解しておいてください。
糖尿病がEDを誘発しやすい3つの理由
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理由①陰茎への血流が悪くなる
糖尿病により陰茎への血流が悪くなることで、EDを発症しやすくなります。
陰茎海綿体に血液が十分流れ込むことで勃起が生じますが、糖尿病によって血管が傷つけられると血管内壁で炎症反応が起き、血液の通り道を狭めて血流を悪くします。
結果として陰茎海綿体まで血液が行き渡らなくなり、EDに至るという原理です。
陰茎を通る血管は、脳や心臓に向かう血管よりも細いため、糖尿病にかかるとEDの症状が優先的に表れやすくなります。
逆に言えば、「EDの症状が表れた際は糖尿病かもしれない」と疑うことで、症状の悪化を未然に防げる可能性があるといえるでしょう。
いずれにしても、糖尿病による血流の悪化は勃起力にも悪影響を及ぼします。
理由②性的刺激が陰茎まで伝わりにくくなる
糖尿病は血管だけでなく神経も傷つけます。
性的刺激を伝える神経がダメージを受けると、脳から陰茎へと勃起を促す信号が十分に伝わらなくなり、EDに至るケースがあります。
神経の機能低下が進行すればするほどEDは悪化していき、やがてまったく勃起しない重度のEDに至る可能性もあるため、注意が必要です。
理由③陰茎の血管が拡張しにくくなる
勃起に至るには、陰茎への十分な血流や神経伝達に加え、陰茎の血管が拡張することも重要なポイントです。
通常、脳が性的刺激を受けると一酸化窒素(NO)が産生され、血管壁の平滑筋と呼ばれる筋肉が緩みます。
その結果、陰茎の血管が広がり、血液の流入を促進して勃起を誘発します。
陰茎が膨張することで、陰茎海綿体から血液が排出される経路を塞ぎ、勃起力を維持する効果も。
しかし、糖尿病により血管がダメージを受けると、一酸化窒素の産生量が低下して血管が拡張しにくくなることが知られています。
陰茎の血管が広がらなければ十分な血液量が届かないため、EDに繋がると考えられます。
糖尿病性EDを発症しやすい人の共通点
ここまでで糖尿病がEDを誘発する理由について解説しましたが、実際は糖尿病性EDになりやすい人とそうでない人が存在します。
以下では、糖尿病性EDを発症しやすい人の共通点を詳しく解説します。
ご自身に当てはまっていないか確認しながら読み進めてください。
糖尿病性EDを発症しやすい人の特徴
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糖尿病歴が長くて合併症を引き起こしている
糖尿病は血管や神経を傷つけて全身の器官に悪影響を与えるため、糖尿病歴が長いほど様々な合併症を引き起こしている可能性が高いです。
糖尿病の合併症にはEDも含まれます。
前述の通り、陰茎の血管は非常に細いため、糖尿病の初期にEDの症状が表れるケースも多いです。
そのほかの合併症を引き起こしている場合は、同時に糖尿病性EDも発症していると考えてもよいでしょう。
不健康な生活が習慣になっている
不健康な生活は、糖尿病を引き起こす引き金となります。
特に糖質の多い食生活が習慣化すると血糖値が高くなり、やがて糖尿病性EDに至るかもしれません。
記事の後半では、糖尿病性EDの予防法として健康的な食事法について触れているので、食生活に偏りがある方はぜひ参考にしてください。
適切なED治療を行っていない
糖尿病性EDはEDの一種のため、満足な性行為を得るにはED治療が有効です。
適切なED治療により勃起が促されれば、糖尿病であっても問題なく勃起力を取り戻せる可能性は十分にあります。
ED治療の王道は、ED治療薬の服用です。
そのほか、様々なED治療法が存在するため、まずは簡単な方法から試してみることをおすすめします。
具体的な治療方法については、以下で詳しく説明します。
糖尿病性EDの治療方法
糖尿病性EDの基本的な治療方法は通常のEDと同様であり、陰茎海綿体への血流を促すためのアプローチを行います。
また、根本的に糖尿病自体を改善することでEDの解消も見込めるでしょう。
以下では、糖尿病性EDの治療方法を詳しく解説します。
糖尿病性EDの主な治療法
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ED治療薬を服用する
糖尿病性EDの治療で最初に検討すべきは、ED治療薬の服用です。
経口薬の投与のみで簡単にED対策できる手軽さが特徴です。
ED治療薬は、勃起を抑制する「PDE5」という物質の働きを阻害することで陰茎海綿体への血流を増加させ、EDの改善を狙います。
当クリニックでもED治療薬を取り扱っていますので、「糖尿病性EDかもしれない」とお悩みの方は、お気軽に相談してください。
ただし、重度の糖尿病を抱えている方はED治療薬を服用できません。
その場合は、後述するほかのED治療をチェックしてみてください。
その他のED治療を受ける
ED治療薬で期待する効果が得られなかった場合は、その他のED治療を検討しましょう。
主な治療方法は以下で詳しく解説します。
海綿体・陰茎注射(ICI治療)
ED治療薬で勃起力が得られなかった場合の第2選択として、海綿体・陰茎注射(ICI治療)があります。
ICI治療とは、プロスタグランジンE1誘導体製剤という薬剤を陰茎に直接注射し、強制的に勃起を促す方法です。
陰茎注射と聞くと怖いイメージを持つ方がいるかもしれませんが、「チクっ」とする程度の痛みで済みます。
また、注射のたびに毎回通院する必要はなく、医師から指導を受ければ2回目以降は自宅で行える点が特徴です。
ICI治療を受けたED患者のうち70〜90%がED改善を実感している事例もあるため、糖尿病性EDに対しても効果が期待できます。
陰圧式勃起補助具
陰圧式勃起補助具とは、筒状の容器に陰茎を挿入し、容器内を減圧することで陰茎に血液が集まりやすくする補助具のことです。
天気の気圧のように、物質は圧力が高いほうから低いほうへと移動します。
この挙動を利用し、陰茎の圧力を下げて陰茎海綿体への血流を促すことで、勃起が誘発される原理です。
また、勃起を維持するために、陰茎の根元にゴムバンドなどを巻いて血液の逆流を防ぐことも有効です。
陰圧式勃起補助具は物理的に陰茎海綿体へと血液を集めるため、糖尿病性EDの方も使用できます。
陰茎プロステーシス手術
ICI治療や陰圧式勃起補助具などのED治療で効果を示さなかった場合は、陰茎プロステーシス手術を検討します。
プロステーシスと呼ばれる人工物質を埋め込むことで、血流が陰茎海綿体に届かなくても強制的な勃起が実現可能です。
手術が成功すれば、100%に近い確率で勃起できるようになります。
ただし、陰茎プロステーシス手術は陰茎に器具を埋め込む移植手術のため、一度実施したら後から取り除くことはできません。
まずはほかのED治療法を試して、どうしてもEDが改善しないときの最終手段として、陰茎プロステーシス手術を検討しましょう。
糖尿病治療を受ける
糖尿病性EDの症状自体は勃起力不足ですが、根本的な原因は糖尿病です。
したがって、糖尿病治療を受けることでEDの改善も見込めます。
糖尿病治療における考え方の基本は、血糖値を正常値に戻すことです。
血糖値を下げる経口薬を服用する方法もあれば、血糖値をコントロールするインスリンを注射で投与する方法もあります。
症状などによって適切な糖尿病治療の方法は異なるため、まずは専門の医師に相談してみてください。
EDを引き起こす糖尿病の指標・サイン
EDには様々な要因がありますが、糖尿病が引き起こしている場合には特有の症状が見られます。
以下では、EDを引き起こす糖尿病の指標・サインを解説します。
糖尿病性EDかどうか判別して正しい対処法を取るためにも、ぜひチェックしてみてください。
自覚症状が表れる
血糖値が上がると、様々な自覚症状が表れます。
以下では、糖尿病患者によく見られる自覚症状の代表例を説明します。
糖尿病患者の主な自覚症状
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体重の減少
糖尿病のサインとして、体重の減少が見られます。
健常な人の場合、エネルギーの元となる糖分を全身の組織に運ぶ役割を果たすインスリンという物質がすい臓から分泌されます。
しかし、1型糖尿病患者の場合、すい臓の働きが悪化し、インスリンが十分に分泌されません。
インスリンの分泌量が減ると糖分を全身に届けられなくなるため、全身の組織がエネルギー不足になります。
そのエネルギー不足を補うために筋肉や骨を分解してエネルギー源にしようとする結果、身体は痩せ細っていき体重の減少に至ります。
「ダイエットしているわけでもないのに体重が落ちた」といった違和感がある場合は、糖尿病を疑いましょう。
のどの渇き
のどの渇きも、糖尿病患者によく見られる症状です。
そもそも、糖尿病は血中の糖濃度が上昇し、血液が砂糖水のようにドロドロになっている状態です。
そこで、血中の高い糖濃度を薄めようと「水分を取って」と身体が反応し、のどが渇きます。
水を飲む頻度が増えた場合は、糖尿病の可能性があると理解しておきましょう。
足のしびれ
血糖値が高くなると、足のしびれなど身体への違和感が生じます。
前述の通り、糖尿病は血管や神経の機能障害を引き起こす可能性があります。
足の末端に向かうほど血管は細くなる傾向にあるため、足のしびれが生じる場合は糖尿病の可能性を疑いましょう。
放置しておくと足の感覚がなくなったり、最悪の場合、足を切除することになったりするため、少しでも異常を感じたら早急に医師に相談してください。
健康診断でHbA1c値と血糖値が高くなる
糖尿病の前兆は、健康診断のHbA1c値と血糖値からも読み取れます。
HbA1c値とは、「ヘモグロビンエーワンシー」と読み、日本糖尿病学会によるとHbA1c値が6.5%以上の場合は糖尿病の可能性が示唆されます。
血糖値については、以下のいずれかに当てはまる場合は、糖尿病を疑いましょう。
糖尿病における血糖値の指標
- 空腹時:126mg/dL以上
- ブドウ糖摂取(OGTT)2時間後:200mg/dL以上
- 随時:200mg/dL以上
糖尿病性EDの予防に有効な血糖コントロール法4選
糖尿病性EDを予防するには、糖尿病の症状をいかに抑えるかが大切であり、そのカギは血糖コントロールにあります。
以下では、おすすめの血糖コントロール法4選を紹介します。
糖尿病の改善によりEDを解消するためにも、ぜひ実践してみてください。
血糖コントロール法
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対策①健康的な食事を取る
健康的な食事は、糖尿病性EDの改善に有効です。
栄養の偏りは糖尿病を招いて血流を悪化させる結果、EDを誘発します。
糖尿病患者の場合、血液がドロドロになっている可能性が高いため、血流をサラサラにする食材を取り入れるのがおすすめです。
特に以下の食材は糖尿病やEDの改善に有効です。
頭文字を取って「おさかなすきやね」と覚えてください。
「おさかなすきやね」の食事
- お → お茶(緑茶や烏龍茶、ほうじ茶など)
- さ → 魚(サバやイワシ、サンマなどの青魚)
- か → 海藻類(わかめや昆布など)
- な → 納豆
- す → 酢(酢酸やクエン酸)
- き → キノコ類(シイタケやキクラゲ、マイタケなど)
- や → 野菜類(ニンジンやカボチャ、ピーマンなど)
- ね → ネギ類(長ネギや玉ネギ、にんにくなど)
基本的に高カロリー食は控え、糖質制限を心掛けましょう。
ただし、全く食べてはいけないわけではありません。
過度な制限はかえってストレスになるため、まずはお菓子や炭水化物を半分程度に減らすことを目標に始めてみてください。
対策②定期的な運動を心掛ける
定期的な運動は、糖尿病の改善に繋がります。
運動不足の方は、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなることが知られています。
そこで、週に3回以上、計150分以上の有酸素運動を行いましょう。
多少息切れする程度の負荷を与えるのがおすすめですが、ウォーキングなどの簡単な方法からで構いません。
可能であれば、1回あたり20分以上の運動持続時間を確保しましょう。
徐々にインスリンの働きが活性化し、血糖値が正常値に向かっていきます。
対策③禁煙を徹底する
タバコを吸う習慣がある方は、禁煙を徹底することで糖尿病の改善が見込めます。
なぜなら、喫煙は血糖を上昇させるだけでなく、血糖値をコントロールするインスリンの働きが阻害されてしまうからです。
そのほか、タバコには多くの有害物質が含まれるため、血管壁にダメージを与えて陰茎海綿体への血流を悪化させます。
したがって、禁煙により糖尿病の原因となる血糖値のコントロールだけでなく、ED自体の改善も期待できます。
対策④過度な飲酒は控える
お酒の飲みすぎは、糖尿病に繋がります。
なぜなら、血糖値をコントロールするインスリンの分泌を抑制してしまう可能性があるからです。
そのほか、タバコと同様に、過度な飲酒は血管へのダメージに繋がります。
少量のアルコール摂取であれば、リラックス効果により一時的なED改善は期待できる可能性があります。
しかし、長期的に糖尿病性EDを改善したいのであれば、お酒の飲みすぎには注意しましょう。
目安として、1日あたりアルコール20gまでに抑えることを推奨します。
これはビール500mlや日本酒1合弱に相当します。
ただし、適切な飲酒量には個人差があるので、参考程度に留めてください。
アルコールに弱い自覚のある方は、上記よりも少ない量に抑えておきましょう。
まとめ〜糖尿病とEDは関連性大!治療法の第1選択はED治療薬の服用〜
糖尿病とEDの関係や治療方法について解説しました。
糖尿病は血管や神経にダメージを与えるため、陰茎に血流が届きにくくなり、結果としてEDを引き起こすリスクが増加します。
治療法の第1選択は、ED治療薬の服用です。
当クリニックでは、様々なED治療薬を用意しています。
「糖尿病性EDかもしれない」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
また、日常の中で実践できる糖尿病性EDの予防方法は、食事、運動、禁煙、禁酒の4つが挙げられます。
こうした取り組みはED自体の解消だけでなく、根本的な原因となる糖尿病自体の改善にも繋がるので、ぜひ実践してみてください。
スタッフより
クリニックコラムをお読みいただきありがとうございます!
いかがでしたでしょうか、参考にはなったでしょうか?
いま、なんらかの症状でお悩みのそこのあなた!
一人で悩まず、まずはご相談ください。