皆さんは、「前立腺オナニー(アナニー)」という自慰行為(マスターベーション)をご存知でしょうか。
陰茎を刺激する一般的な自慰行為と異なり、前立腺オナニーは肛門から前立腺を刺激するものであり、正しい自慰行為とはいえません。
前立腺オナニーのような間違った自慰行為を繰り返していると様々な影響が体に現れます。
今回は、前立腺オナニーが危険な6つの理由を解説します。
記事の後半では正しい自慰行為のポイントをお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
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前立腺オナニー(アナニー)とは?
前立腺オナニーとは、肛門から指や専用の器具を挿入し、直腸の壁越しに前立腺を刺激することで絶頂(オーガズム)に達することを目的とした自慰行為です。
アナル(肛門)でオナニー(ドイツ語で「自慰行為」の意味)をすることから、「アナニー」とも呼ばれます。
前立腺は男性にある臓器で、膀胱の直下に隣接する直腸と恥骨の間にあるクルミ程の小さな器官です。
尿の通り道である尿道と精液の通り道である射精管は前立腺の中で交わるため、男性の生殖機能に密接に関係した重要な器官なのです。
さらに、前立腺は性感帯としての役割も持ち合わせています。
人によっては、前立腺の刺激で陰茎を刺激する自慰行為よりも何倍もの性的快感を得られるといわれています。
また、前立腺をうまく刺激すると陰茎を刺激しなくても射精に達して絶頂感が続く「トコロテン射精」や、射精しなくても絶頂感が味わえる「ドライオーガズム」が体験できるとされています。
前立腺オナニー(アナニー)のやり方
以下に、前立腺オナニー(アナニー)の基本的な手順を示しました。
前立腺オナニーの基本的な手順
- 専用の洗浄器具で直腸を綺麗にする
- ローションを肛門に馴染ませる
- 指や専用の器具を挿入
- 全身の力を抜いて性的快感を待つ
- 使用後は専用の器具を清掃する
※前立腺オナニーを推奨するものではありません
当クリニックでは、前立腺オナニーは様々な観点から危険であると考えています。
あくまで、前立腺オナニーの基本的な手順は参考程度に捉えてください。
前立腺オナニー(アナニー)が危険な6つの理由
前立腺オナニーは危険な自慰行為です。
性的快楽を得るために前立腺オナニーをするのはやめたほうがよいでしょう。
前立腺オナニーが危険な理由は、以下の通りです。
前立腺オナニーが危険な6つの理由
- 痔になる可能性がある
- 肛門が緩くなる可能性がある
- 直腸内を傷つける可能性がある
- 挿入物が取り出せなくなる可能性がある
- 前立腺炎やED(勃起不全)になる可能性がある
- 通常の性行為や自慰行為で満足できなくなる可能性がある
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それぞれ以下で詳しく解説します。
痔になる可能性がある
前立腺オナニーによって、痔になる可能性があります。
前立腺オナニーをするには、肛門に指や専用の器具を挿入する必要があります。
挿入時に肛門を傷つけてしまう可能性があるのです。
前立腺オナニーで肛門が傷つく原因
- 指の爪で引っ掻いた
- 専用の器具にバリが残っていた
- 指や専用の器具を乱暴に挿入した
- 複雑な形状の専用の器具を挿入した
- 大きすぎる専用の器具を無理やり挿入した
- etc…
肛門出口の皮膚が傷つくと痛みと出血を伴う、「裂肛(切れ痔)」を引き起こし兼ねません。
また、肛門が傷つかなくても過度に負担がかかると、肛門を締める役割を果たす内肛門括約筋や、肛門粘膜組織の毛細血管などが鬱血して血行不良になり、その部分が「痔核(いぼ痔)」になることもあります。
痔は悪化すると長期間痛みに耐えなければならなかったり、外科手術が必要になったりすることもあります。
痔になるリスクを考えると、前立腺オナニーはリスクが高いといえるでしょう。
肛門が緩くなる可能性がある
前立腺オナニーによって、肛門が緩くなる可能性があります。
肛門は排便や排ガスを調整する器官であり、体内の排泄物などを体外へ出す役割を担っています。
そのため、異物を体外から肛門を通して体内へ挿入することは、人体の構造上想定されていないのです。
肛門の開閉調整は、無意識のうちに肛門を締める「内肛門括約筋」と、意識的に肛門を締める「外肛門括約筋」という筋肉が行っています。
内肛門括約筋の機能は、一度低下すると元に戻すのは難しいといわれています。
異物挿入によって内肛門括約筋を動かす筋肉や神経などが損傷すると、肛門を締める力が弱くなり、漏出性の便失禁が常態化してしまう可能性があります。
それどころか、日常の排便さえコントロールできなくなるかもしれません。
また、肛門が緩くなった結果、直腸が肛門内から肛門外に脱出した「脱肛(だっこう)」という状態になる可能性もあります。
脱肛した直腸がバラのようにひだが重なった形に見えることから「アナルローズ」と呼ばれることもあります。
簡単にいえば、直腸の出口が裏返っている状態です。
肛門を締める力が弱まり、機能が低下すると脱肛が癖になり、元に戻らなくなることもあります。
このように、前立腺オナニーには今後の一生を左右するリスクが潜んでいるのです。
直腸内を傷つける可能性がある
前立腺オナニーは、肛門が傷つく原因と同じ理屈で直腸内を傷つける可能性もあります。
直腸に穴が開く「腸穿孔(ちょうせんこう)」を引き起こすことも考えられます。
直腸には痛みを感じる神経がないため、異常があってもすぐに気が付くことができません。
そのため、知らぬ間に傷口から雑菌が入り込んで炎症を引き起こしてしまい、最悪の場合は死に至ることもあります。
前立腺オナニーの際に用いる挿入物に細菌やウイルスなどが付着していると、感染症を引き起こすリスクが高まります。
腸穿孔が生じてしまうと自然治癒は見込めないので、治療するには外科手術を行うしかありません。
このように、前立腺オナニーは思いもよらない疾患を招く可能性があることを覚えておきましょう。
挿入物が取り出せなくなる可能性がある
前立腺オナニーによって、挿入物が取り出せなくなる可能性があります。
専用の器具は肛門から取り出しやすく、肛門の奥へと入り込まないように作られています。
しかし、前立腺オナニーに慣れてくると、指や専用の器具以外の物を肛門に挿入してしまう方も一定数います。
前立腺オナニーで専用の器具以外の物を肛門内へ挿入すると奥まで入り込み、自力では取り出せなくなることがあるのです。
取り出すには外科手術が必要になることもあり、肛門や直腸内へのダメージに繋がります。
以上のように、前立腺オナニーは非常に危険な行為だと言わざるを得ません。
前立腺炎やED(勃起不全)になる可能性がある
前立腺オナニーによって、ED(勃起不全)になる可能性があります。
性的快楽を求めて前立腺を刺激しすぎた結果、長期にわたって前立腺の炎症が引き起こされる「慢性前立腺炎」を発症する可能性があります。
慢性前立腺炎になると、射精時に違和感を抱いたり、性機能の低下、早漏(※1)、ED(※2)の原因になったりすることがわかっているのです。
実際の研究データとして、慢性前立腺炎の患者は精液量や精子濃度、精子の質などの低下が見られた結果も得られています(※3)。
慢性的に炎症していても痛みや熱などの症状が見られないことが多いので、発症に気が付かないことがあります。
つまり、知らぬ間にEDになってしまうことがあるのです。
ED予防の観点からも前立腺オナニーは控えるべきでしょう。
※1 参考:Lee, Jun Ho, and Sung Won Lee. “Relationship between premature ejaculation and chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome.” The journal of sexual medicine vol. 12,3 (2015): 697-704.
※2 参考:Li, Hong-Jun, and De-Ying Kang. “Prevalence of sexual dysfunction in men with chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome: a meta-analysis.” World journal of urology vol. 34,7 (2016): 1009-17.
※3 参考:Condorelli, R A et al. “Chronic prostatitis and its detrimental impact on sperm parameters: a systematic review and meta-analysis.” Journal of endocrinological investigation vol. 40,11 (2017): 1209-1218.
通常の性行為や自慰行為で満足できなくなる可能性がある
前立腺オナニーによって、通常の性行為や自慰行為で満足できなくなる可能性があります。
何度も繰り返していると、前立腺オナニーでしか性的快感を感じられない、絶頂できない(イケない)体になってしまうことがあります。
前立腺オナニーは中毒性が高く、一度ハマると辞められなくなるといわれています。
通常の性行為や自慰行為に戻れなくなるリスクを孕んでいるのです。
前立腺オナニーの頻度が増えると、前述した痔やEDなどを引き起こす可能性が上昇することになります。
前立腺オナニー(アナニー)はやめよう!正しい自慰行為のポイント
ここまで、前立腺オナニーによって様々な疾患を引き起こすリスクが高まることを説明しました。
前立腺オナニーに興味を持っている方は、陰茎を刺激する一般的な自慰行為で楽しむことを推奨します。
以下に、正しい自慰行為のポイントをまとめました。
正しい自慰行為のポイント
- 陰茎を手でやさしく握る
- できるだけゆっくりと陰茎を刺激する
- 足ピンオナニーをしない
- 刺激が強すぎる画像や動画を用いない
あくまでも実際の性行為とはかけ離れた刺激を与えないことがポイントです。
前立腺オナニーで過度な刺激を与えずとも、一般的な自慰行為でも十分に性的快楽を得られます。
長期的なリスクを考慮し、改めて正しい自慰行為の方法を習慣化しましょう。
まとめ~前立腺オナニー(アナニー)はリスク大!正しい自慰行為で楽しもう~
性欲を解消するためとはいえ、神経や血管など体の一部が傷つく可能性のある前立腺オナニーは、正しい自慰行為ではありません。
間違った自慰行為を繰り返すと早漏などの射精障害やED(勃起不全)を引き起こす可能性があります。
一度、そういった症状を引き起こしてしまうと元に戻すのが難しいこともあります。
一時の性的快楽のせいで、何らかの障害を一生背負い続ける必要はありません。
充実した性生活を送るためにも、前立腺オナニーなどの変な自慰行為だけは絶対にしないようにしましょう。
スタッフより
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