男性に質問です。
FSDを知っていますか。
ヒューメイル・セクシャル・ディスフィンクションの略称で、女性の性機能障害のことです。
ED(勃起不全症)に悩む男性や、EDが気になっている人は、自分のことで頭がいっぱいのはずです。
「この年齢でEDになるとは」「人生の重大事だ」そのように感じている人もいるでしょう。
しかし妻やパートナーがいる男性は、ここであえて、ED治療をFSDの観点から考えてみてはいかがでしょうか。
セックスは相手がいて成立するものです。
つまりEDが治っても、妻やパートナーの女性がFSDのままでは、性生活を楽しむことはできません。
EDの男性がFSDを知れば、EDを治療する意義がより深まるでしょう。
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女性が性快感を得る仕組みは複雑
FSDを理解するには、女性の性について知っておく必要があります。
女性が性快感を得る仕組みは、男性のそれと比べると、かなり複雑です。
男性の場合、ある瞬間、突然性欲がわいてきて、アダルト動画を見てマスターベーションをして射精して「終わり」ということは珍しくありません。
しかし女性の性行動は、「始まり」も「終わり」も、その「途中」も、簡単には進みません。
日本人女性の場合、自発的に性欲がわいてきても、男性のモーションを待つ人が多いでしょう。
挿入前のいわゆる「前戯(ぜんぎ)」は、普通は男性が女性に対して行ないます。
これは、勃起のしやすさに比べると、膣液は分泌しにくいからです。
女性が性交前のムードづくりや、優しいボディタッチを男性に望むのは、興奮させてほしいからです。
挿入時も、間違ったアダルト動画を見すぎた男性は激しく動こうとしますが、女性は「じわじわくる」ことを望んでいます。
さらに、オーガズムに達したあとの女性は、優しく抱かれることを好みます。
つまり「後戯(こうぎ)」を必要とします。
FSDは、このような女性の性の複雑さと密接に関係しています。
FSDとは性欲の減退や嫌悪感や痛み
性機能障害でも、女性のFSDは男性のEDより複雑です。
EDは最終的には、勃起するかしないかの問題に集約されることが少なくなく、ED治療薬も勃起を目標にしています。
一方のFSDには次のような特徴があります。
- 性欲障害(セックスしたいと思えない)
- 性的嫌悪感(セックスをしたくないと思う)
- 興奮障害(性欲はあるが、興奮できない)
- 局所的な興奮障害(クリトリスへの刺激から快感が得られなくなってしまった、など)
- 性交疼痛症(挿入されると痛みが走る)
- 膣液の分泌の悪化(いわゆる「濡れない」)
こうした特徴があるため、FSD治療のゴールが遠くなることがあります。
それは女性にとって、とても苦しいことです。
FSDの原因
FSDもEDと同じように、肥満、メタボ、生活習慣の乱れ、過度なストレスが原因になり得ます。
また、動脈硬化や糖尿病や性病などによって引き起こされるのも、FSDとEDに共通しています。
しかしFSDの原因はそれだけではありません。
夫やパートナーの男性の無理解や無神経さが、FSDを引き起こすこともあります。
つまり逆の見方をすると、FSDは、男性の配慮によって改善する可能性があるわけです。
お母さんと呼ばないようにすることから始める
子供ができると特に、夫は妻を「お母さん」と呼ぶようになります。
これは、妻の性欲の盛り上がりを阻害しかねません。
子供が留守のときはせめて、夫は妻の下の名前で呼んであげましょう。
夫が意識的に行動しないと、女性は「母親の時間」と「妻の時間」をわけることができません。
EDに悩んだらFSDも気遣ってあげる
初めてEDを発症した人や、EDのような症状が起き始めたばかりの人は、とてもあせると思います。
しかしそのときこそ、妻やパートナーの女性のFSDも疑ってみてください。
夫は、自分がEDであることや、ED気味であることを隠さず、妻に告白する必要があります。
そのうえで「僕のEDも心配なのだが、君は君でFSDで苦しんでいないかい」と声をかけてあげてください。
そうすると妻は「実は私も、以前ほどセックスを楽しむことができなくなった」と告白してくれるかもしれません。
夫婦間やパートナー間でこのようなコミュニケーションを取ることができれば、ED治療もFSD治療も、前向きに取り組むことができるようになります。
FSDは婦人科クリニックで治療できるので、男性から女性に通院をすすめてみてはいかがでしょうか。
まとめ~「何のための勃起回復か」と考えてみる
EDは、バイアグラなどのED治療薬によって改善を期待できる病気です。
しかし、妻やパートナーの女性がFSDだったら、勃起が回復したことの喜びや価値はそれほど大きくはないのではないでしょうか。
ED治療は自分のためであると同時に、相手のためでもあります。
男性がFSDの知識を持ち、FSDを気遣うことこそ「男らしい」といえます。
※当クリニックではFSDの治療は行っておりません。
スタッフより
クリニックコラムをお読みいただきありがとうございます!
いかがでしたでしょうか、参考にはなったでしょうか?
いま、なんらかの症状でお悩みのそこのあなた!
一人で悩まず、まずはご相談ください。