皆さんは「ペロニー病(陰茎硬化症)」という陰茎の疾患をご存知でしょうか。
ぺロニー病は、男性の性機能に様々な悪影響を与えます。
勃起時に陰茎が歪曲したり、痛みが出たりすることがあるのです。
悪化するとED(勃起不全)の原因にもなります。
今回は、ペロニー病(陰茎硬化症)の症状や原因、治療方法などについて解説します。
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ペロニー病(陰茎硬化症)とは?
ペロニー病(Peyronie's disease:陰茎形成性硬結症/形成性陰茎硬化症)とは、陰茎海綿体を囲む線維性の白膜などが炎症を起こし、硬いしこり(プラーク)ができる疾患です。
「ペイロニー病」や「陰茎硬化症」と呼ばれることもあります。
硬いしこり部分は、「プラーク」と呼ばれる陰茎海綿体の白膜の一部が厚くなった、線維性の瘢痕組織です。
そのため、勃起時にしこり部分が正常に伸びず、しこりの部分から陰茎に大きな歪曲を生じたり、形状が歪んでしまうことがあります。
陰茎の歪曲や形状の変化には個人差があり、人によっては90度以上陰茎が歪曲することもあります。
悪化すると性行為が困難になったり、または不可能になることがあります。
さらに、勃起時に痛みを伴うこともあり、状態によってはED(勃起不全)の原因にもなります。
成人男性の約10%はペロニー病を発症する可能性があり、決して珍しい疾患ではありません。
特に、40歳以降の中高年の方が発症することが多いとされています。
放置すると歪曲や形状の歪みが悪化したり、EDになる可能性が高まるので、早期の治療が必要です。
また、ペロニー病によって発生したしこりが「がん化」することはありませんが、しこりが元々がん細胞である可能性があります。
がんとの区別が難しく、正確に診断するためにはしこり部分を一部切除して組織検査を行う必要があります。
もし、がんだった場合は、陰茎を切除したり、命の危険もあるので、放置せず検査や治療を開始したほうが良いでしょう。
ちなみに、余談ですが、ペロニー病は1743年にフランスの「Francois Gigot la Peyronie」という方が最初に報告した疾患であるため、その名がついています。
ぺロニー病の原因
ペロニー病の明確な原因は残念ながらはっきり分かっていません。
陰茎への外傷や打撲によってペロニー病を発症することがありますが、外傷や打撲がなくても発症することがあります。
原因が外傷や打撲など外的要因によるものではない場合は、加齢や肥満、高血圧、遺伝子、自己免疫疾患、虚血性心疾患、飲酒(アルコール)、喫煙(タバコ)などが発症に関係していると考えられています。
また、糖尿病の方や男性ホルモンの一種である「テストステロン」が低い方などに多く見られることは分かっています。
ぺロニー病を発症しやすい方
- 自己免疫疾患の方
- 虚血性心疾患の方
- 陰茎に外傷がある方
- 前立腺手術歴のある方
- 遺伝子的に要因のある方
- デュピュイトラン拘縮の方
- 日常的に飲酒や喫煙をしている方
- 男性ホルモン(テストステロン値)が低い方
- 全身疾患(糖尿病や高血圧、高脂血症など)の方
- 性感染症などによる尿道炎(非淋菌性尿道炎など)の方
- etc...
上記に該当する方は、あくまでぺロニー病を発症しやすいだけで、必ずしも発症するわけではありません。
ぺロニー病の治療方法
ペロニー病は、治療しなくても自然回復することがあります。
しかし、放置することで逆に悪化することもあるので、何らかの治療を早期に開始したほうが良いでしょう。
ペロニー病の治療方法には、主に「薬物治療」と「外科治療(外科手術)」があります。
ペロニー病の治療方法
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薬物治療
ペロニー病は、発症後、約数ヶ月間は症状が進行する活動期のため、陰茎の歪曲などが進行したり、勃起時の痛みが持続します。
この期間に外科治療を行うことはできないため、プラーク(線維性の瘢痕組織)の拡大防止に効果のある「トラニラスト」や「ビタミンE」を含むの治療薬(内服薬)を服用します。
治療薬によって改善が見られるのは、約50%以下と言われていますが、発症からなるべく早く治療薬の服用を開始することが大切です。
さらに、痛みが強い時やより強力に炎症を抑えるため、「ベラパミル塩酸塩(カルシウム拮抗薬)」や「コルヒチン」、「コルチコステロイド(副腎皮質ホルモン)」などの薬剤をプラーク部分に直接注射することもあります。
内服薬による治療で改善が見られない場合は、局所注射を数週間おきに繰り返します。
日本人には、「ベラパミル塩酸塩」の注射が比較的効果が得られやすいと言われています。
薬物治療で使用される薬剤の有効成分
- ビタミンE
- コルヒチン
- トラニラスト
- パラアミノ安息香酸(PABA)
- ベラパミル塩酸塩(カルシウム拮抗薬)
- コルチコステロイド(副腎皮質ホルモン)
- コラゲナーゼ(クロストリジウム・ヒストリチクム)
- etc...
外科治療
外科治療(外科手術)は、薬物治療で改善が見られない場合に検討されます。
外科治療には、大きく分けて「縫縮術(プリケーション法)」と「移植術(グラフト移植術)」の2種類があります。
縫縮術(プリケーション法)とは、歪曲した箇所(プラーク部分)の反対側の白膜に溶けない糸で縫い縮め、陰茎を真っ直ぐにする手術方法です。
生まれつき陰茎が弯曲している「先天性陰茎弯曲症」にも縫縮術が行われ、改善する場合が多いとされています。
しかし、症状の進行状況などによっては、手術後、陰茎の長さが短くなることがあります。
移植術(グラフト移植術)とは、プラーク部分を切除し、側腹部(わき腹)の皮膚(真皮)や大腿部(ふともも)の静脈を移植して陰茎を真っ直ぐにする手術方法です。
陰茎の長さは短くなりにくいですが、手術後、勃起力が低下する可能性があります。
また、基本的に外科治療を行う場合は、数日の入院が必要になります。
手術後、約1週間で入浴(シャワーのみ)が可能になり、自慰行為(マスターベーション)や性行為は、手術後、約2ヶ月で可能になります。
まとめ~放置しないですぐに病院へ~
陰茎にしこりや違和感を感じたら、万が一のことを考えて、とりあえず病院などの医療機関へ診察を受けに行きましょう。
ペロニー病や陰茎がんなどの問題がなければそれで良いでしょう。
ペロニー病は、早期の段階であれば薬物治療だけで完治することもあります。
また、後遺症や治療にかかる費用なども抑えることができます。
充実した性生活を送るため、陰茎の健康管理はしっかりと行うようにしましょう。
スタッフより
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