レビトラ10mgと20mgの違い
監修:新橋ファーストクリニック 院長 市村 明

レビトラ10mgと20mgの違い
レビトラ10mgと20mgの違いは純粋に、一錠に含まれる有効成分の含有量の違いです。レビトラ10mgには有効成分「バルデナフィル」が10mg、レビトラ20mgには「バルデナフィル」が20mgと単純に倍になっています。
有効成分の量が倍だから、薬の効果も倍になるかというと、そういうわけではありません。10mgよりも20mgのほうが勃起の硬さが増したり、薬の効果時間がより長くなることは確かにあるものの、それらが単純に倍になって感じられるということではないのです。

高容量のほうが効果や持続が増す反面、副作用の発現頻度や程度が強くなったり、長く続いたりする場合もあるため、10mgから20mgに変更することがメリットだけとは限りませんのでご注意ください。(効果や副作用の発現には当然ながら個人差があります)
下のグラフを見ていただくとわかりやすいですが、レビトラ10mg(青色) とレビトラ20mg(赤色) の血中濃度と時間経過の違いを表したグラフです。似た形のグラフが形成されますが、20mgのグラフの方が、全体的に山が高くなっています。
単回投与時の血中濃度
バルデナフィル空腹時単回投与時の血漿中未変化体濃度の推移(日本人)

日本人健康成人男子18例に、バルデナフィル10mg、20mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中バルデナフィル濃度推移
薬物動態学的パラメータ
投与量 (mg) |
AUC (μg・hr/ml) |
Cmax (μg/ml) |
Tmax ※1 (h) |
t 1/2 (h) |
---|---|---|---|---|
10mg | 20.94(1.72) | 10.05(1.86) | 0.75(0.50~1.00) | 3.19(1.08) |
20mg | 44.14(1.39) | 18.35(1.29) | 0.75(0.50~1.00) | 3.98(1.46) |
※1: 中央値(範囲)
幾何平均値(幾何標準偏差)、n=6
※バイエル薬品 レビトラインタビューフォームより転載
やはり用量が大きい20mgの方が、多くの有効成分が身体に吸収されることを示しています。身体に取り込まれる有効成分が多いほど、効果が強く出て持続時間も長くなります。
薬を選ぶ際に10mgと20mgのどちらを選ぶべきかですが、これは医師の中でも意見が割れるところです。副作用のことも考え、用量の少ない10mgから試すべきという医師もいれば、報告されている副作用は軽微なものが多いため、強力な20mgから試すべきという医師もいます。
当クリニックでは、患者様の健康状態や年齢を考慮した上で、「日やシチュエーションによって問題なく性行為ができる。もしくは、自慰行為は全く問題ない」という方には10mgを、「性行為の際に毎回うまくできない。そして自慰行為でもうまく勃起できないことがある」という方には20mgをお薦めすることが多いです。
もちろん、ご自身のご希望に応じて、副作用が心配であれば低用量から、高用量のほうが効きそうで安心できるならば高用量のお薬を処方できます。
レビトラ10mgと20mgの比較まとめ
レビトラのジェネリックについて

用語解説ジェネリック医薬品とは?
後発医薬品とも呼ばれる。先行発売の薬の特許が期限切れになった場合、その薬とまったく同じ有効成分を使用して薬を製造することができる。研究費用がかからないうえ、製法などを工夫することがでコストの削減が可能。先行薬と同等の効果を持ちながらも、価格は抑えられた薬として国内でも認知が広まりつつある。
レビトラの正規ジェネリック薬は日本に存在する?
レビトラのジェネリックはありますか?と聞かれることはありますが、国内で認可された正規のジェネリック薬は発売されておりません。(2020年5月現在)
基本的に薬剤の特許が切れると他のメーカーが同成分の薬剤を少ない研究費用で生産できるため、安価なジェネリック薬が生まれます。2014年に日本でもバイアグラの特許が切れて、正規のジェネリック薬が多数の製薬メーカーから販売されました。
レビトラは発売になってからまだ20年が経過していないため、ジェネリック薬の生産はできません。しかし、そういった薬剤の特許などを認めないインドでは、レビトラと同じ有効成分を同量入れたジェネリック薬、通称インドジェネリックが正式に認められ、製造されています。商品名ではバリフ
(VALIF)やフィリトラ(FILITRA)、サビトラ(SAVITRA)などが挙げられます。インド国内の製薬メーカーが同成分で作るため、効果は本家レビトラと遜色ないといわれますが、日本で個人が手にしようとすると個人輸入の形になってしまい、信頼できるルートがない限り薬剤が本物であるかどうかについては、真偽の程がかなり怪しくなってしまいます。
レビトラの正規ジェネリックが国内で承認されるとしたら?
レビトラの正規ジェネリックはいつ頃でますか?と聞かれることがありますが、明確な時期はわかっておりません。一口にレビトラの特許といっても、1つだけでなく、成分の特許や製法に関する特許など、様々あるためにハッキリといついつに特許が切れるということはいい切れません。
ただし、一般的な特許期限や、先行発売したED治療薬で、既にジェネリックも認可されているバイグラを参考にすることで、発売時期をある程度推測することは可能です。
レビトラは日本では2004年に販売開始になったため、長く見積もっても20年後の2024年頃には特許が切れ、ジェネリック解禁になるのではないでしょうか。
バイアグラは世界的に1998年に認可されましたが、ジェネリック発売は2014年だったため、20年が経過するのを待たずして特許切れを迎えたことになります。もしかすると、レビトラのジェネリック発売も同じように少し前倒しになるかもしれません。
ジェネリックが発売された際の価格について
バイアグラのジェネリックもそうでしたが、多数のメーカーからジェネリック薬が発売になるので、価格競争が起こり、値段は下がることが容易に想像できます。
一般的な保険適用の治療薬の場合には、ジェネリック薬が発売されると、先発薬と比べて4割から6割程度安くなる場合が多いです。
しかし、レビトラは一般的な保険適用の薬とは違い、自由診療の治療薬のため、公に価格が決まるわけではありません。
医療機関ごとに価格設定はされるので一概には言えませんが、最近のバイアグラを例にあげると、1500円程度で処方されていたバイアグラが、ジェネリックだと1250円から1000円程度で処方されているようです。20~33%程度安くなっています。
これをレビトラに当てはめると、大まかにですが以下の様になります。
単純な予想に過ぎませんが、国内ジェネリックの発売で身近になると嬉しいですね。
レビトラジェネリック薬の副作用について
基本的には同成分の薬となるため、起こりやすい副作用は同じものとなります。個人差で、正規品では副作用は出ないのに海外のレビトラジェネリックでは副作用が出る、という人もいます。
また、薬効成分であるバルデナフィルは同じですが、それを包むコーティング部分は各ジェネリックメーカーごとに違うため、それによってアレルギー症状などが出る場合があります。
ここまでで挙げた話は、中身が本物だったときの話です。中身が偽物だったときの副作用は想像を絶するものがあります。不純物の混入による健康被害や、薬効成分が多く入りすぎてしまったために起こる、強い副作用。
中には全く違う向精神薬の成分が入っていた場合もあります。こういった偽物を服用した際には、一時的な副作用だけでなく、不可逆的な副作用が生ずる場合もあるため、注意が必要です。
レビトラのジェネリック薬を通販購入するのは安全か?
レビトラのジェネリックを個人輸入するのはおすすめしないと正直に申し上げます。
その理由としては、経口摂取する治療薬だからこそ、安心できるものを使用すべきだと考えるからです。
一般の方が薬剤の個人輸入をする際には、第三者が行う輸入代行業者を介して輸入することがほとんどでしょう。ED治療薬メーカーなどが行った調査によると、こういったインターネットを介した通販や個人輸入では、薬剤の半数以上である55
.4%が偽物の薬剤であったことが判明しています。効果が乏しいだけなら、「偽物をつかまされた」というだけで済むかもしれませんが、国内では様々な健康被害、海外では死亡例なども報告されています。
自身の健康を守るためにも、安易な個人輸入は控え、安心できる医療機関で処方を受けることをおすすめします。