ED治療薬服用で失敗しない為に・ED治療薬を服用できない疾病
監修:新橋ファーストクリニック 院長 市村 明

ED治療薬服用と食事の関係
ED治療薬3種類はそれぞれ有効成分が違います。
その有効成分ごとに身体への吸収の早さ、代謝され易さ、脂溶性などに大きな違いがあるため、ED治療薬の効いている時間や食事やアルコールなどとの関係もそれぞれに特徴があります。
![]() | バイアグラは三種のED治療薬の中でも、一番食事の影響を受け易い薬です。食事がお腹にあると吸収が阻害されてしまうため、食事から3時間くらい空けて空腹の状態で服用することが重要です。服用後1時間ほどで吸収されるため、その後は食事を取っても問題ありません。 |
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![]() | レビトラは脂分の多い食事を避け、さっぱりした食事やアルコールであれば、比較的影響を受けにくくなっています。レビトラも1時間ほどで吸収されるため、その後の飲食は問題ありません。 |
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![]() | 三種の中で食事に一番強いのがシアリスです。脂分の多い食事やアルコールを摂っても、吸収が阻害されにくいため、食事を気にせずに使えます。 |
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ED治療薬の吸収時間と速度
バイアグラ、レビトラの二種類は比較的吸収されやすい構造になっているため、空腹で服用すると15~30分程度で効き始め、血中濃度は1時間ほどでピークを迎えます。
それに対し、シアリスはブロック構造になっていて身体への吸収に時間が掛かるため、服用後1時間程度で効き始め、3時間後にピークとなります。
そのため服用の目安としては、バイアグラ、レビトラは性行為の1時間前、シアリスは3時間前と言うのが目安となります。
3種薬剤の時間別薬剤血中濃度比較
バイアグラ50mg、レビトラ20mg、シアリス20mgの投与後経過時間と薬剤成分血中濃度
※バイアグラ50mgは単位をng/mLからμg/Lに換算して作図
バイアグラ
単回経口投与時の薬物動態パラメータ(健康成人男性)
投与量 (mg) | T max (hr) | C max (ng/mL) | AUC 0~t (ng・hr/mL) | AUC 0~∞ (ng・hr/mL) | T 1/2 (hr) | |
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シルデナフィル | 25 50 100 150 | 0.8±0.6 0.9±0.4 0.8±0.4 0.9±0.5 | 105±62 192±102 425±147 674±239 | 231±103 504±202 1148±274 1977±733 | – – 1190±301 2044±721 | – – 3.31±0.81 3.23±0.73 |
(mean±S.D. 、n=20)
(注:本剤の日本での承認用量は1日1回25mg~50mg)
※データ出典:ファイザー株式会社社内資料
レビトラ
薬物動態学的パラメータ
投与量 | AUC (μg・h/L) | C max (μg/L) | t max a) (h) | t 1/2 (h) |
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10mg | 20.94 (1.72) | 10.05 (1.86) | 0.75 (0.50-1.00) | 3.19 (1.08) |
20mg | 44.14 (1.39) | 18.35 (1.29) | 0.75 (0.50-1.00) | 3.98 (1.46) |
a)中央値(範囲)
幾何平均値(幾何標準偏差), n=6
※データ出典:バイエル薬品社内資料
シアリス
単回経口投与時の血漿中タダラフィル濃度より算出した薬物動態パラメータ
用量 | n | AUC 0-∞ (μg・h/L) | C max (μg/L) | T max 注) (h) | T 1/2 (h) |
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5mg | 24 | 1784 (35.3) | 95.6 (30.0) | 3.00 (0.500~4.00) | 14.2 (19.9) |
10mg | 23 | 3319 (32.5) | 174 (26.5) | 3.00 (0.500~4.00) | 14.6 (20.9) |
20mg | 24 | 5825 (23.2) | 292 (26.1) | 3.00 (1.00~4.03) | 13.6 (17.1) |
幾何平均値(変動係数%)
注)中央値(範囲)
※データ出典:日本新薬社内資料
ED治療薬服用で注意すべき食事
いずれのED治療薬もベストを望むのであれば、空腹での服用が一番吸収は良くなります。
薬剤によりますが、レビトラやバイアグラなどはお腹に食事や脂分などがあると、薬剤が吸収される腸管などに脂の膜が張ってしまい、薬剤の吸収が阻害されて効果の発現遅滞や、減弱が起こります。
食べ合わせで注意が必要なものがもう一つ「グレープフルーツ」です。
グレープフルーツは薬剤を代謝する肝臓の酵素を阻害するため、ED治療薬の代謝が滞ることにより効果が強く出すぎる場合があるため、注意が必要です。
食事とED治療薬の服用 ベストタイミングは?
ED治療薬が身体に吸収されていないと、期待する効果が得られずに失敗の原因となってしまいます。
ED治療薬を効果的に使うには、薬剤と食事の関係や薬剤が吸収されるまでの時間などは把握して服用することをお薦めします。
![]() | 食事やアルコールの摂取から3時間ほど空けて、お腹の中を空にした状態で水と一緒にバイアグラを1錠服用します。血中濃度がピークに達するのに1時間ほどかかるので、性行為の1時間前に服用するのがベストと言えます。 |
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![]() | 空腹での服用がベストですが、脂分を避けたさっぱりとした食事やアルコールであれば、吸収は阻害されにくくなっています。脂分を摂った場合には3時間以上間隔をあけましょう。 |
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![]() | シアリス服用の際は、食事にそこまで注意は必要ありません。性行為の3時間ほど前にシアリスを服用することが肝要です。 |
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ED治療薬を服用できない疾病

- 不安定狭心症などの持病のある方
- 重度の肝障害のある方
- 90/50mmHg以下の低血圧の方
- 170mmHgを超えるコントロールされていない高血圧の方
- 6ヵ月以内に心筋梗塞の既往のある方
- 6ヵ月以内に脳梗塞、脳出血の既往のある方
- 網膜色素変性症の持病をお持ちの方
持病をお持ちの方へ
ED治療薬に対して、危ない薬というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、医師の診察を受け、用法、用量を守って使えば安全なお薬です。
しっかりとした診察を行うためにも、初診で来院いただく際には、現在服用中のお薬の名前をメモに取っていただけたらと思います。もし、最近に受けた健康診断などの結果があれば、是非お持ちください。
また、ED治療薬の服用に関して、慎重に状況を把握しなくてはいけない疾病もあります。心疾患一般や、脳梗塞、脳出血、肝障害、腎不全(透析を含む)などをお持ちの方は御来院頂く前に、主治医に「ED治療薬の服用が問題ないか」の確認をしていただきたいと思います。詳しい検査結果や日ごろの病状の推移を見守る主治医にしか、判断のつかない場合も多々あります。ED治療薬も大分普及し、一般化しているのでそういった質問も珍しいことではありませんので、勇気を出して聞いていただけたらと思います。