レビトラの効果効能について
監修:新橋ファーストクリニック 院長 市村 明

レビトラの効果
レビトラは、PDE5(ホスホジエステラーゼの5型)と呼ばれる特殊な酵素のはたらきを阻害して、勃起しやすくさせる効果をもった薬です。
PDE5という酵素は、性的刺激を受けた際に発生するNO(一酸化窒素)が血管を拡張させて陰茎へ血流を送り込もうとするはたらきを邪魔してしまうので、勃起が起こりにくくなってしまいます。
これが、ED(勃起不全)が現れたときの体内メカニズムです。
レビトラの有効成分である「バルデナフィル」にはPDE5のはたらきをブロックする効果があるため、陰茎海綿体の血管が拡張されて血液流入がスムーズになり、普段よりも少ない刺激で勃起できるようになります。
同時に、勃起そのものも普段より硬さが得られ、一度起こった勃起が萎えにくくなるといった効果も期待できます。
強制的に勃起して萎えない!? レビトラの効果は誤解されがち
レビトラの効果を誤解して、服用後は意識と無関係に強制的な勃起をしてしまったり、陰茎が勃起したまま何時間も萎えない状態になってしまうと思い込んでいる方もいるようです。
ですが、基本的にはそういったことはありません。
確かに、レビトラを服用した後は、有効成分の効果によって普段より少ない刺激で勃起しやすくなります。
しかし、刺激がなくなってしまえば普段よりもゆっくりとではありますが、陰茎は萎えていきますのでご安心ください。
性的刺激への感応度が増すのもレビトラの効果
レビトラを飲むと、性的刺激への反応が鋭敏になるので、普段は性的な刺激だと思っていない、ちょっとしたこと(猥談をする、女性と手をつなぐ等)でも性的刺激として反応してしまうことがあります。
注意が必要ともいえますが、レビトラのED改善効果として前向きに捉えることも大切です。
レビトラの効果を示す治験データ
レビトラの製薬メーカーであるバイエル薬品が行った治験にはレビトラの効果(挿入頻度の改善・勃起持続の改善)に関する報告がありますのでご紹介します。
治験概要
1.効能又は効果 | 勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者) |
---|---|
2.用法及び用量 | 通常、成人には1日1回バルデナフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口投与する。10mgの投与で十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性又は混合型勃起不全患者に対しては、20mgに増量することができる。 高齢者(65歳以上)、中等度の肝障害のある患者については、本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、5mgを開始用量とし、最高用量は10mgとする。 1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。 |
3.臨床成績 3-1.臨床データパッケージ 3-2.臨床効果 | (2009年4月以降承認品目)該当しない (1)国内データ1)、2)、3) 1:国内用量反応試験(ブリッジング試験) 国内用量反応試験(ブリッジング試験)における臨床効果は IIEF(International Index of Erectile Function:国際勃起機能スコア)質問票(15質問)の内、挿入の頻度に関する質問「ここ4週間、性交を試みた時、何回挿入することが出来ましたか?(問3)」及び勃起の維持に関する質問「ここ4週間、性交中、挿入後何回勃起を維持することが出来ましたか?(問4)」を以下のスコアで評価した。 性交の試み一度も無し・・・・・・・・・・・・・・・・・・0 毎回又はほぼ毎回(10回中9回以上)・・・・・・・・・・・・5 おおかた毎回(半分よりかなり上回る回数:10回中7回程度)・4 時々(10回中5回)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 たまに(半分よりかなり下回る回数:10回中3回程度)・・・・2 全くなし又はほとんどなし(10回中1回以下)・・・・・・・・1 バルデナフィル5mg群、10mg群及び20mg群においてプラセボに比し有意な改善がみられた。なお、本試験では糖尿病患者、脊髄損傷による勃起不全患者、根治的前立腺全摘除術の既往のある患者は対象から除外されている。 |
1) Nagao, K. et al.: Int. J. Urol., 11(7): 515-524, 2004
2) Ishii, N. et al.: Int. J. Urol., 13(8), 1066-1072, 2006
3) Kimoto, Y. et al.: Int. J. Urol., 13(11), 1428-1433, 2006
※バイエル薬品 レビトラインタビューフォームより転載
治験結果(下記棒グラフ元データ)
プラセボ | バルデナフィル | |||
---|---|---|---|---|
5mg | 10mg | 20mg | ||
挿入の頻度 | n=71 | n=67 | n=75 | n=66 |
投与前 | 2.6 | 2.9 | 2.8 | 2.6 |
投与後 | 3.2±0.1 | 4.1±0.1 p<0.0001 | 4.5±0.1 p<0.0001 | 4.6±0.1 p<0.0001 |
勃起の維持 | n=71 | n=67 | n=75 | n=66 |
投与前 | 1.5 | 1.6 | 1.5 | 1.5 |
投与後 | 2.3±0.2 | 3.5±0.2 p<0.0001 | 4.2±0.2 p<0.0001 | 4.3±0.2 p<0.0001 |
投与前の値は算術平均値(Mean)、投与後の値は調整済平均値(LS mean)±S.E.
検定は共分散分析を用いたプラセボとの比較
※バイエル薬品 レビトラインタビューフォームより転載
挿入頻度の比較

レビトラ服用による挿入頻度の改善を示したグラフです。
中容量のレビトラ(バルデナフィル10mg)でも、服用前は半分以下だった挿入成功率が「10回中7回程度」と倍以上に改善されています。
勃起維持の比較

こちらは勃起維持に関する改善を示したグラフです。
20mgで最大の効果を得ていますが、10mg服用での改善率も非常に高く、服用前と比べると約3倍におよびます。
服用によって、性交時にはほぼ毎回、勃起維持が得られる状態に改善したことが示されています。
レビトラの持続時間
レビトラはバイアグラよりも後に発売された後発薬ですので、効果の持続時間にも改良がされており、より長く効果が持続するように作られています。
バイアグラの効果持続時間が4~6時間なので、それ以上の持続時間が期待できます。
バイエル薬品による日本人成人男子18名を対象したレビトラの治験結果のなかに「空腹で服用した際には、おおむね15分程度で血管拡張効果が出始めて、7.5時間(45分)で血中濃度はピークを迎え、3.2~5.3時間の半減期(有効成分の血中濃度が半分になるまでの時間)で速やかに消失した。」という内容の報告があります。
この結果から考えますと、服用後15分くらいで効きはじめ、1時間弱でピークを迎え、5~6時間程度の持続時間が見込めるといえます。
単回投与時の血中濃度
バルデナフィル空腹時単回投与時の血漿中未変化体濃度の推移(日本人)

日本人健康成人男子18例に、バルデナフィル10mg、20mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中バルデナフィル濃度推移
薬物動態学的パラメータ
投与量 (mg) | AUC (μg・hr/ml) | Cmax (μg/ml) | Tmax ※1 (h) | t 1/2 (h) |
---|---|---|---|---|
10mg | 20.94(1.72) | 10.05(1.86) | 0.75(0.50~1.00) | 3.19(1.08) |
20mg | 44.14(1.39) | 18.35(1.29) | 0.75(0.50~1.00) | 3.98(1.46) |
※1: 中央値(範囲)
幾何平均値(幾何標準偏差)、n=6
※バイエル薬品 レビトラインタビューフォームより転載
レビトラの持続時間を決定づける要因
レビトラの効果持続時間の長さは、有効成分の代謝と密接に関係しています。
有効成分バルデナフィルは、内服することにより腸管などから吸収され、血中にいきわたることによって勃起を起こしやすくする効果が発揮されます。
血中に含まれる有効成分は主に肝臓で代謝され、最終的に尿などで排泄されていきます。
成分を吸収し、代謝していくはたらきの中で、血中の有効成分濃度が一定のレベル以上ある間は、「効果の持続時間」と考えてよいでしょう。
どのくらいの血中濃度を下回ると効果が持続しなくなるかに関しては、具体的な数値で指標を示したいところですが、実際にはなかなか困難な作業です。
というのも、体質や健康状態、血管の状態、服用するレビトラの用量の違い(5mg、10mg、20mg)などに応じて、血管の拡がりやすさに個人差が生じてくるからです。
他の項目でも触れますが、空腹ではない状態で服用すると、食事の内容によっては、有効成分の吸収が油分などによって阻害されてしまうことがあるので、効果発現の遅延や持続時間の短縮、効果が感じられないといった事象も起こり得ます。
レビトラの関連ページ
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