クリニックコラム

注射方法の種類や効き目の違いとは?【医師監修】

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注射方法の種類や効き目の違いとは?【医師監修】

注射とは、飲み薬(内服薬)や塗り薬(外用薬)と同様に、薬剤に含まれる有効成分を体内に届ける手段の1つです。

注射が飲み薬や塗り薬と投与方法と異なる点は、穴の開いた針を体に刺して薬液を送るということです。

治療目的や薬剤の効果などによって、注射針を「体のどの部位に刺すか」が変わってきます。

今回は、注射方法(打ち方)の種類や効き目の違いについて解説します。

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4種類の注射方法がある

注射の種類

注射を打つ方法は、主に4種類あり、治療目的などによって使い分けられます。

この4種類の違いは、針先が到達する場所です。
人の体の表面は皮膚で覆われており、皮膚の下に血管や筋肉、骨などがあります。
4種類の注射は、針先が到達する場所が異なりますが、それは針を刺す深さの違いとも言えます。

薬液が放出される場所の違いによって、効き目の速さなどが変わってきます。

注射方法の種類

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皮内注射

皮内注射

皮内注射とは、皮膚表面の表皮とその下にある真皮の間に薬液を注入する注射方法のことです。
薬液の投与量は、0.1mL~0.2mLと少量に抑えられます。

皮内注射は、4種類の注射の中では、効果が現れるまでに最も時間がかかるため、何らかの疾患を治療するためには使用されません。
ツベルクリン反応やアレルギー反応など検査で皮膚の反応を見る際に使用されます。

例えば、アレルギー症状が出ているものの、その原因(アレルゲン)が特定できていない場合、少量のアレルゲンを皮内注射し、皮膚に何らかの症状が出るかどうかを見ます。

皮下注射

皮下注射

皮下注射とは、真皮と皮下脂肪の間にある皮下組織に薬液を注入する注射方法のことです。
皮膚に対して斜めに注射し、数mLまで薬液を投与することが可能です。

毛細血管の血流に影響されるため、有効成分が緩やかに体に吸収されます。
皮下注射は、4種類の注射の中では、効果が現れるまでに皮下注射の次に時間がかかりますが、長時間効果が持続します。

インフルエンザワクチンなど日本国内で行われている予防接種の多くはこの注射方法が用いられています。

静脈内注射

静脈内注射

静脈内注射とは、静脈内に直接薬液を注入する注射方法のことです。
少量を一度に投与する場合は、注射器を使用し、50mLを超える場合は点滴で投与することが可能です。

静脈の血流に影響されるため、有効成分がすばやく体に吸収されます。
静脈内注射は、4種類の注射の中では、最も効き目が早い(速効性が高い)注射方法になります。
そのため、命に関わる緊急時などで用いられることもあります。

当クリニックで取り扱っている「にんにく注射」は静脈に注射しています。
速効性があるにんにく注射は「二日酔いの症状をすぐに取り除きたい」「疲れから早く回復したい」という要望にすぐに応えることができます。

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筋肉内注射

筋肉内注射

筋肉内注射とは、皮下脂肪の下にある筋肉中に直接薬液を注入する注射方法のことです。
皮膚に対してほぼ垂直に注射し、数mLまで薬液を投与することが可能です。

血管が豊富に分布する筋肉内に注射するため、有効成分が皮下注射よりも速く体内に吸収されます。
静脈内注射の次に効き目が早い(速効性が高い)注射方法になります。

皮下注射よりも副反応が少なく、抗体の産生が多いため、ワクチン予防接種では筋肉注射が多く用いられています。
子宮頸がん予防のためのHPV(ヒトパピローマウイルス)やB型肝炎ウイルスなどのワクチン予防接種はこの注射方法が用いられています。
また、昨今話題になっている「新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)」のワクチンもこの筋肉注射が用いられています。

注射針の深さランキング

針の長さ

注射方法の違いは、針を刺す深さの違いとも言えます。

注射方法別に注射の針先が到達する深さを浅い順にランキング化しました。
注射針の深さランキングは、以下の通りです。

注射針の深さランキング(浅い順)

  • 1位:皮内注射
  • 2位:皮下注射
  • 3位:静脈内注射
  • 4位:筋肉内注射

効き目の速さランキング

ストップウォッチ

注射針を刺す場所の違いによって薬液が体内へ吸収する速度、つまり効き目の速さが変わってきます。

注射方法別に効き目の速度を速い順にランキング化しました。
注射の効き目の速さランキングは、以下の通りです。

効き目の速さランキング(速い順)

  • 1位:静脈内注射
  • 2位:筋肉内注射
  • 3位:皮下注射
  • 4位:皮内注射

効果の持続時間ランキング

時計

注射針を刺す場所の違いによって効果の持続時間が変わってきます。

注射方法別に効果の持続時間を長い順にランキング化しました。
注射の効果の持続時間ランキングは、以下の通りです。

効果の持続時間ランキング(長い順)

  • 1位:皮内注射
  • 2位:皮下注射
  • 3位:筋肉内注射
  • 4位:静脈内注射

注射の効き目と効果の持続時間は反比例している

説明する医師

注射の効果の持続時間ランキングは、効き目の速さランキングの真逆になりました。
このことから、注射の効き目の速さと効果の持続時間は反比例していることが分かります。

注射の効き目の速さと効果の持続時間の関係

  • 効き目が速いと、効果の持続時間は短くなる
  • 効き目が遅いと、効果の持続時間は長くなる

注射の豆知識

指を指す医者

4種類の注射を理解できたところで、注射の知識をさらに深めていきましょう。

注射についての豆知識をご紹介します。

注射の豆知識

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なぜ注射は痛いのか

「注射」と聞いて最初に思い浮かべるのは「効き目の速さ」でも「効果の持続時間」でもなく、「痛い」ではないでしょうか。

注射の痛みは主に「刺す時の痛み」と「刺した後の痛み」の2種類です。

刺す時の痛み

注射の針を皮膚に刺す時、「チクッ」という痛みを感じます。
これは皮膚の表面に痛みを感じる、痛点という神経線維の末端が密集している点があるからです。

痛点は、直径約0.1mmで全身に約200個~400万個存在すると言われています。

個人差によりますが、皮膚の表面には、1mm²あたりに平均130個の痛点があります。
そのため、注射の針が細ければ細いほど痛点を避けることが可能になり、痛みを感じにくくなります。

インスリン注射などで使用される34ゲージ(0.18mm)~30ゲージ(0.3mm)の注射針であれば、痛点に当たる確率がとても低いため、痛みを感じにくくなるでしょう。

刺した後の痛み

注射による痛みの中には、刺した後、血液と薬液の浸透圧による痛みがあります。
浸透圧とは、濃度の違いによって生じる圧力の差のことです。

血液と薬液には浸透圧があるため、その差が小さい薬液ほど刺激が少なく、痛みを感じにくくなります。

また、注射による痛みの中には、血液と薬液のpH(水素イオン指数)の差による痛みもあります。
pHとは、水溶液の成分が「酸性」か「アルカリ性」かを表す値のことです。
水溶液がpH7の場合、どちらにもかたよらない「中性」とされおり、7より大きい場合は「アルカリ性」、7より小さい場合は「酸性」になります。

人間の血液は、個人差によりますが、約pH7.4でほぼ「中性」に保たれており、注入される薬液と血液とのpHの差が小さいほど刺激が弱く、痛みも小さくなります。

点滴も注射の一種

点滴の正式名称は「点滴注射」と言い、静脈内注射の一種です。
点滴は、薬液を大量に投与しなければならない場合に用いられる注射方法です。

例えば、大量の栄養補給や水分補給を目的とする場合に使用されます。
注射で投与すると何十回も針を打たなければなりませんが、点滴なら一度の注射で済みます。

点滴注射は、即効性と持続性を兼ね備えているのです。

骨に刺す特殊な注射

注射方法には、「腰椎穿刺」や「骨髄穿刺」と呼ばれる注射針を骨に刺す注射もあります。

腰椎穿刺とは、背骨の延長にある腰の骨(腰椎)に針を刺し、腰椎の中の脳脊髄液という液体を採取するものです。
一方、骨髄穿刺とは、腸骨という骨盤の骨の中に針を刺し、腸骨の中の骨髄液という液体を採取するものです。

腰椎穿刺は、くも膜下出血や髄膜炎などの検査に用いられ、骨髄穿刺は、白血病や癌の転移など血液に関する病気の検査に用いられます。

従って、腰椎穿刺や骨髄穿刺は、腰椎や腸骨の髄液を抜くために行うもので、薬液を注入するためではないのです。

まとめ~注射は怖くない~

注射方法の種類やその違いを知ると、かなり合理的な薬剤の投与方法であることが分かります。

注射と聞くと、どうしても予防接種や採血の際に打つ、痛い注射を想像してしまいがちです。
しかし、飲み薬や塗り薬などと同じように効果的な投薬手段の一つです。

注射について無知で恐れるより、むしろ注射について深く知ることで、効率的に利用できるようになります。
治療目的以外にも、日常生活で役立つにんにく注射などもあるので、ぜひ検討してみましょう。

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スタッフより

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